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夜 夜よりやさしい友達はいなかったわ、って昔話をしてくれるお母様はとてもきれい。そこに思い出が浮かんでるみたいに天井の一角をうっとり眺めるの。誰にも内緒で家を出ると、夜がやさしく包んでくれて、行くべき道を教えてくれる。その先には必ず素敵なことが待ってるのよ。だから、わたしは歩きはじめたの。お母様。帰ったらいっぱいお話してあげるからね。 光 光は欠片も見当たらない。いよいよ銀行に残高はなくなり、帰路にどちんぴらにからまれ、落とす肩さえ奪われた気分だ。いっそ素っ首落としやがれ、と捨て鉢になるが、既に首を切られた身分であり、涙も涸れている。どちんぴらに奪われた金がなきゃ、家には帰れない。小銭でも落ちてるか地面を舐めながら歩くと、黒猫の目が光っていた。ついてくる? そんな顔してる。 列 列を乱す人間。小学校に入って早々、自分の性質に気付いた。女だてらに借金取りなんて言うと、大抵のやつは、うげえっ、て顔するから、あたしはまた列を乱した気になる。にやにや嘲笑って、なんでこんな仕事してんのー、とか言うやつら。やかましい。借りたら返せ。逃げんじゃねえ。こんな夜中に、あたしは走ってる。ヒールが履けない仕事。やっぱり今日で辞めよう。田舎に帰って見合いでもして、結婚したい。 車 車から半分以上身を乗り出し、割れたフロントガラスまみれ。シートベルトを促す交通安全指導ビデオさながらの状況で、どちんぴらは気絶していた。金を取り戻した若い男はそのことを説明する前に、借金取りの若い女に豪快な一本背負いで湖に叩き込まれた。水しぶきが月光にきらめき、夜にあわい虹の橋をかけ、その上を電飾で彩られた列車が走っていく。黒猫は、お母様のために、美しい光景を目に焼き付けている。
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