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* 柚子は自分のなかに風を視る 黙したまま目を閉じて 生と死と最初の約束を始めた 何処にもゆけなくなった僕たちはゆっくりと喪い続けている いつか何もかもが忘れられてしまうことを柚子は知っている いつか柚子が消えてしまうことを僕は知っている * 窓の外は今日も白い * 降りしきる雨のなか 瞳に青が映ったのだとすれば それは永遠と云う時の流れのなかに生きる柚子の横顔 * 僕はいつでも柚子と一緒に死んでしまいたいと思っている 今日の僕は言葉を発する事をやめたので誰の記憶にも 残らない けっして * 「光は、何色をしていますか」 「僕はまた喪ってしまった」 「世界樹が仄かな光を喪った瞬間に季節がなくなって」 「なくなって――」 「なくなって――」 * (涙が止まらないの?) (何がそんなに悲しいの?) * * 僕は新しい世界を視たい 誰もが口を閉ざしてしまった終わりの世界に拘るのをやめて 新しい世界の風を視てみたい 僕たちは永いあいだ遠くで響いている音を聴いてばかりいた * 流れ続けている 水 * 雨音が聴こえる 雨に流されて消えてしまえば良いと思いながら生きている 自分と云う記号が消えることによる一時の悲しみのあとに 自分を知る全ての人間に平穏が訪れることを僕は知っている 光が痛い ずっと遠くへとゆく日の為に 準備だけは整えておきたいと思っているのだけれど * 僕には柚子を見るしか出来ない 見る以外にやることがないし 柚子といない自分に生きる意味があるなどとは到底思えない * (何も欲しいものはない。) (ただ知りたいだけだ。) * 時間と云うものが平等で 明日と云うものが誰にでも等しくやってくるものだと思えない 終わらない今日に生きている それはもしかすると終わらない昨日なのかもしれない 一歩たりとも踏み出す事が出来ずに 前を見る事も出来ない 時間が過ぎる感覚すらない (年齢だけが重ねられてゆく) * 教えてほしい 世界が何色をしているのかを 僕はいつでも柚子と一緒に死んでしまいたいと思っている 今日の僕は言葉を発する事をやめたので誰の記憶にも 残らない けっして―― ※絵は水瀬
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