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本文
彼が住む家の屋根から地平線が見える 海に何枚も重ねられた薄い和紙が色を放棄している 鳥は風鈴の内側に映った空を旋回しながら 打ちつける飛沫の膜を数えている 物語 という言葉を思い出して 私は小さな指輪を外し 足元が覚束ないまま大きく振りかぶり放り投げた 庭の畝から西瓜達がその輝きを一斉に見つめ 隣のトマト達は描き出された艶やかな弧を妬み 車のクラクションが空に弾き 葉の裏に隠れた虫がざわめき 鳥は鳴いて 海は夜のしじまの為に すべてを手に入れようとしている 一月 鎖骨に留まっていた七色のオウム 足の甲を舐める錆色のコヨーテ 背中に張りついた金色の孔雀 ちょうどそれは酸素がなくなった 指輪の月からのこと 息を吐いてみる 肌にまとわりついた鱗が 部屋の鍵をそっと閉める 鮮明だったと嘘をついて オンボロの体を着替える 魚達が私を少しずつ食い潰し 高速で回転すれば 酸素を生んで気泡を弾く 何度も 繰り返された 海、だった 確かめるように 息を吸ってみる 足跡を連れて行った砂は 奪うことも好きなのだと思った 観光客の家族が裸足で浜辺を散歩し 太陽は遊んでいる黒い髪の少女にだけ 少し多く光を注いでいる 波が世界の一定を刻み 遠くの老人を静かに眠らせてもいる 昔そこらじゅうに蒔いた芽にならず沈んだ無数の種を ゆっくりと拾い集め 貝殻に入れると軽く転がす 物語 とはどこまでのことだろう かぞえさえしても 終わりそうになかった 思い出すことはなにもない 永遠が約束をして 海があって太陽があった 思い出すことはなにもない 貝殻を拾い 手のひらでもう一度転がす そして力いっぱい掴み しっかりとした足取りで 二三歩踏み込むと 大きく振りかぶり放り投げた 輝いている
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