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・ 一時限目 電線はノートの罫線のようだ 背景は青空よりも白い曇り空の方が似合うな そんなことを考えながらぼんやり窓の外を眺めていた 陽はさんさんと射して 窓外の木の下に出来る影が 水たまりのように青く見えていた クラスメイトは魚のような顔で声をそろえて さ・し・す・する・すれ・せよ さ・し・す・する・すれ・せよ と何度も繰り返している ふと前を向くと ちょうど後ろを振り向いていた女の子と目が合ったので 黙って微笑み合って その子の名前は知らなかったけど 髪に精液が付着していたので なんとなく あ ともだちだと思った ・ 二時限目 突然翼が生えてしまった女の子が きひひひと高笑いをしつつ 教室の窓から飛び立っていった 彼女は空高く舞い上がり あっという間に見えなくなってしまった あとには むっと濃く繁った夏の日の森みたいな 青臭いにおいだけが残っていて あの子これからずっと あのつめたそうな青空の中で 一人ぼっちで 羽ばたきながら生きるんだろうか ・ 三時限目 眠たがる女の子や男の子の頭から ぽわんとしたものが発芽して 色とりどりの花を咲かせてゆく わたしの頭からも何か芽吹く気配がしたので 眠りこまぬように目を開いた 右斜め前の席の女の子が咲かせている花から ふわんとした胞子が飛んでくる ひとつでも吸いこむと その女の子になってしまうから 慌てて息を止めて前を見る 教科書を読んでいる先生は 眠りこんでいる一番前の席の男の子と 同じ顔になってしまっていた どうやら吸いこんでしまったらしい ・ 四時限目 おなかが空いた男の子が 隣の女の子をめりめり食べている 女の子は少しの間 やめてよとかなんとか言っていたけど そのうち静かになった 見ていなかったから知らないけど 全部食べられちゃったんだろう 見つかったら自分も食べられちゃうから わたしたちはみんな目をそむけていた 男の子たちの口の中は例外なく 何か恐ろしいものが潜んでいるかのように どんよりと黒い 血のにおいがする あとでちらりと見てみると あの男の子の足元には リップグロスのたっぷり塗りたくられた唇が ぽつんと吐き捨てられていた
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