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1 ろばの肉は、骨をくるんで、 皮にくるまれていた。 もえがらにはならなかった。 一つ、星のおこるたび、 グレアに紙をかき消されるたび、 皮をまとって、骨にまとわされて、 その火を後ろに投げたから。 切りそろえた紙を透かして、 わたしは大地の続きを見ている。 立って、目を開いている限り、 陰はわたしの背にある。 ライ麦の群がりの向こうまで、 見たかったものが、今、見えるもので、 上でも下でもない。 ろばは、 自身の肉を重いとは思わなかったから、 こんなに甘く、みずみずしい。 とり分けたその善意を食べ続けて、 言葉が生まれた。 一つ、言葉をつけ足して、 酸化しないように、書いた紙を束ねていく。 2 紙に書かれた事実の通り、 見るものは名のって並んでいる。 そこまでも、そこからも、 一つ、文を作っている。 たどれば、道に迷わない。 雪の深い日も、霧の濃い夜も、 ろばの歩いた跡を持たない。 あの棒は、長く、硬く、 ゆらぐものを支えている。 にぎれなくとも、 支えられているものの重さに、棒を見て、 棒に、支えさせているものの重さを見る。 わたしは快さだから、 見ていることを全うしなければならない。 それは、わたしの形を通して、歌になる。 紙はふるえて、街娼の、墓石の前に、 言葉を結んで、開いていく。 ろばにはない、心臓の速さで。 歌われることの、くがねのきらめきが、 一つ、人間にあらしめて、 ここは、すでに世である。
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