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宇宙を押し広げながら しゅるしゅると無限に吐き出される時の糸が 最終電車の下敷きでぶっつり裁たれると まき散らされたねばつく切れ端は 置き去りのひとびとを絡め取り 家畜の言葉に似た福音を求めて 夜明けまでのながい巡礼へ駆り出す 帰る場所を失った刹那より 変わらないまま白んでゆく空が怖いので ひとびとは輪廻のおきても忘れ 暗い光に吸い寄せられる とろりと甘く煮詰まった夜の底で ぱっくり口をあけた街のあそこは 滑稽なくらいどす黒く ほだされて病を得るひともいれば 沈んだきり戻らないひともいて スーパーカブの音とともに 無事帰還を果たしたひとびとなら そこが自宅の居間であることに喜悦を表し 汚れた靴下を脱ぎながら 昨日と今日のつなぎ目がずれないよう 悪夢と記憶を選り分けて 自分自身に祝福を与えるだろう 気の利いた提案は安く手に入るものだが 対処療法にさえならないのが実情で 花と果物の香りに満たされ 砂浜の風に抱かれても 目を閉じて思う井戸に神秘は湧き出さない 轢死者の赤黒い肉片と突き出た白い骨を見ても 嘆きと尊厳は約束されず 浄化の目的など果たされるわけがない 湿った靴下の匂いが真実なら 何者であるかを測れるということもありそうだが 四十五億年分のわずかな誤差にまぎれて 全てを赦した話は錯覚だとおもう だいぶ前から両手はいっぱいなのだ 口の中まで詰め込んでろくにものも言えない 施せば奢りの罰が落ちてきて 憐れみの数だけ欺瞞に肉を焼かれてしまう 乞うためにわたしは 何も持たない人を愛し 窓のない独房を愛し 滋養のない乾いた土を愛し 音のない闇を 色のない空を 今日と寸分たがわぬ明日を 宇宙を満たす無意味な時を あいそうとおもう それは 混沌へ還る何かに似て なくなる ということ
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