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私が自殺する日にはすれちがう人が皆あなたならいい 花時計、もう回想だけで過ごしてゆけるだけの時間が秒針の先にとまり。乗れるはずもない、ひしゃげた自転車があなたさえ居れば牽かれて奇妙に鳴いている。すれちがいざまのあなたは私を基点に一周だけ旋回すると、なにもなかったかのように過ぎ去ってゆく。私にとってのあなたの周りからは昨日までと変わらぬ洋楽の幻聴が聞こえている。 なんども花時計の前を私がとおるのは、そこで会えなかったあなたとすれちがいたいから。耳を噛んでくる甘さに地盤がゆるんで風向きにうながされた一歩に長い時間が絡みついてくる、私の足の甲に坐りにくるのは風景のない影。もうすぐ来るはずのあなたもその影によってないものとされ、くたびれた私の靴紐は切れそうなまでにひっぱっられて弄ばれている。 私はそこからじっと動かなくなる。花時計から破裂しはじめた緑色の閃きの葉から、枝が八方にうねうねと結われていく。その一本だけが解かれ、私の胸に宛てがわれると、胸中にからりと栗の花が咲いた。行き先をのばす白線が、これ以上あなたをどうしようもない道路にまぶしく突っ切っている。おもむろに私に押し寄せてくる段差の上は、今なにもみえてはいないが、おそらく四辺に二十センチ間隔でちとせ飴の植えられた畑がひろがっている。飴の先端はだれかに嘗めらてしまったのか三センチほど溶けていて、丸みは人差し指くらいがちょうどよい。そこへトンボが飛んでくる。とまる指を選ぶようにカタカタと、しかしどれにもとまれないまま畑を超えていく。ぼたぼたと、私のあしもとが染みはじめている。上空では熟れた雲が風に振り落とされ、はいつくばってそれを舐めた遠足の子らがアリになっている。その行列を踏まないように離れて歩くうちに、いつのまにか私は情けないほど大きくなって例の畑を踏み荒らしている。 どんなにあなたを思い出しても私の自殺をひきとめてくれるようなあなたが一人もいない それでも私が自殺する日にはすれちがう人が皆あなたならいい
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