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(あなたのなまえ、 学名より、和名のほうが、好きよ) ぜんちぜんのう、の かみさまと ともだちになったのだけれど、 かみさまはあそんでくれない 生まれたときにはみんな、深海を持っている 真っ白い壁と床と 真っ青な空に囲まれた 明るく無響の部屋に ただひとりでいて、 そしてちいさな三輪車が一台 不機嫌な角度に配置されていた 真っ白い床がぱかりと割れて、 ざぶん、 と音を立てて落下したのは水槽みたいなプール (実際に水槽だったのかもしれない、) (水族館の、) (わたし、みせもの、だったのかもしれない、) 生きることと泳ぐことが直結していた ――何百年か後に、もうひとり落下してきた 肌と肌が触れあえば、 そこから融合がはじまります ただじっと、 ただじっとしていればよいのです とくとく、と波打つ わたしたちを繋ぐ配線と 白い肌の連なりが 見えますか プールから這い出る用意ができたとき 逃げだす用意ができたとき 街は広がり、 あなたの回線をこちらに回して 世界はせかいであることに疲弊して 午前三時はまだ停滞している わたしはあなたであることに停滞している あなたはあなたでありつづけることに停滞している わたしたち以外にひとひとりいない街 だれもいない図書館の隅の陽だまりで わたしたちはお互いの名前を呼びあった (あなたのなまえ、 学名より、和名のほうが、好きよ) 信号だけが明滅している あなたの回線から見る風景はまっさらで ノイズひとつない わたしたちは お互いの配線の接続を確かめあって お互いの耳を塞ぎあって 息を吸う/息を吐く をくりかえした 祈るように 白い街 (乾いた、ひかり、 白い服 (風に、なびく、 白い手 (血管、透けてる、 白いくちびる (さいごのひとことが聞こえなかった、 白い、かみさま (爆風はやさしく頬をなでる、 ねえ、かみさま あなたの存在しないその躰を わたしがあなたにあげたって、いい この躰を差し出したって、いい あの頃の深海を、 携えてなくったって、いいでしょう? わたし、もう、失くして、しまった (あなたのなまえ、 学名より、和名のほうが、好きよ)
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