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[1] 《愛の寓話》
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解らないのかい

まるで怪物のような
君への愛が育っているのを

薄暗い飼育小屋のなか
蒼白いその細い腕に
見えない傷を持つ女の腿から
そいつは産み落とされた

不規則に並んだ眼球から
黄色い汁が垂れている

ホルン風の耳を持ち
数え切れない手足には
指がそれぞれ19本
何かが腐ったような臭いがする
皮膚は揖保で一杯だ

鞭のように伸びた鼻
息を吐く度に脇腹の空気弁が
ふわりとめくれ上がる

そうだ、それは君への愛

女の食べ残した
大量の残飯を与えられ
丸々と太ったその愛は
まだまだ足りぬと涎を垂らして
その巨躯を悶えさせ
今にも冊を破りそうさ


やがて愛は自我に目覚め
本能が君を求め
幾つもの眼球を目まぐるしく動かす

君の姿を探し求めて
壁を掻き毟り
耳を大きく拡げ
空気弁をばたつかせ


(貴方は何処に居る?)


そしてある夜、ついに
女が気付かないうちに
そいつは飼育小屋を飛び出した

飯櫃に伸びた長い鼻で
匂いを嗅ぎ分け
君の居場所を突き止めて
真っ直ぐに、君の元へと


(ああ、蜂のように
貴方を後ろから襲ってしまおうか)


だが何も恐れる事は無い筈さ

その唇を変質させて
君が約束の蝋を溶かすのならば



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