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[1] 《ブロックフィッシュの背びれ》
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あてもなく昼下がり
運命の意図に手を伸ばせば
終わらない旋回の始まり

エナメルの細い義肢が
つかんだ銀のフラフープ
とてもきれいで嫌いな色

錆びついた金属帽子が
口笛にあわせて軋んだ
失速装置のベルが耳の奥で
うれしそうに鳴りひびく

年代物の粉砕機を使って
死にかけたミールの命を救ったけれど
奴らは生まれつきの偽物

背中の開いた部外者へ
独りでに姿を変えていく
ウィーニーが屋根の上で
本気で笑っている
赤い服の小さなウィーニー


鳶色の扉を叩けば
天窓から驚いて顔を出す
黒い毛玉の発火鼠たち

逃げるように甘い太陽
耳障りなあこがれに
デニーの安物の鼓膜は
すぐに破られた

いつまでも屋根の上で
笑っているわけじゃない
"ブロックフィッシュの背びれ"
その言葉はまるで
ウィーニーの為にあるようなもの


ひび割れた海で椅子を抱く
おかしな色をしたデリラは
死んでいることに気付かない

片足ブーツに欠けた四本指
両目があった場所には
文字の書かれた丸いプレート
片方には"真実を失え"
もう片方には"自分の目玉を茹でろ"

だけどそれを気にする奴なんて
この町にはいないさ

背骨のない雨蛙が
首吊り草の色に変わる

ほら心臓売りが始まるぜ

ウィーニーが屋根の上で
本気で笑っている
赤い服の小さなウィーニー


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