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 crazy lazy booy
© ヤマコ 
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 キーワード:シュール 青春 ラブコメ バイオレンス
 あらすじ:いくつかのシリーズ小説+シュールな短編中心。馬鹿で阿呆でちょっと愛しい。そんな奴らです。色んな意味で痛々しいカップルがいます。
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[本文抜粋]

「ヒヒ、お前案外バレバレだぞ」
「マジで?嫌だなゲイだってバレんの」
「ダイジョーブだって。気づいてんの俺と下澤くらいだし。」
「そ。なら良いや」

あー空青い。今なら飛べそう。落ちても死ななそうな気がする。

「あんなヤツやめちまえよ、」

またして唐突に吉田が言う。

「‥なにが」
「だってお前あんなチャラ男の何処が良いんだよ、昨日だって」
「ああ、隣のクラスの奴に告ってたなあ」

俺と違ってヤツはカムアウト済みだ。故に好き勝手やってる訳で。
でもなんで吉田がそんな辛そうな顔すんだよ。

「俺だって忘れられんならとっくに忘れてらあー」
「りっちゃん‥」
「でも駄目なんだよなあ。自分でも本っ当に馬鹿だと思うよ」

思わずこぼれた本音は二酸化炭素となって消えた。下校を告げるチャイムが響く。あ、俺バイトだから行くわ。俺がそう言って立ち上がると吉田は複雑な顔してそっか、と呟いた。

校門の前にはヤツがいた。優しげな笑みを湛えたまま乗れよ、と促す。2ケツなんてめっちゃ久しぶりだからどこに捕まれば一番安定するだろうとしばらく考えていた。腰につかまって。ヤツが小さく言った。

「うっひょー早えだろ」
「馬っ鹿じゃねえの」
「ひっでえわざわざ迎えに来てあげたのに!」
「馬ー鹿」
「ちょっと俺超キズついたんだけどー!!」

キズついてんのは俺の方だっつうの。一体どういうつもりなんだよ。離れたくても離れられなくなっちまうじゃねえか。どんなに俺が抜け出そうと抗こうが、ヤツはこうして生温い愛をチラつかせるのだ。蜘蛛、みたいだと思った。

冬はやっぱり日が落ちるのが早い。信号待ちをするヤツの顔に差す影をみて、ぼんやりと思った。回した手はヤツの体温でほんのり暖まっていた。

「りっちゃん」
「ん‥‥」
「眠いん?」
「ん‥」
「そっかそっか、じゃあ寝な。まかしといて。絶対おとさないように運転すっから」
「んー」

目の前をトラックが横切って行く。ヤツ手のはひんやり冷たい。俺が終わるまで、ずっと待っててくれたんだろうか。考えるのも億劫で寝たふりを決め込んだ。

「りっちゃん、」
「‥‥‥」
「りっちゃん、好きだよー」

ああもう馬鹿。

急に涙が込み上げてきて、慌てて俺はヤツの背中に顔を押し付けた。

[抜粋終了]

管理人様、貴重なスペースありがとうございました!!








2007/06/24
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