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満更でもない失恋だってある。
R指定:無し
キーワード:同級生/失恋/
あらすじ:俺が臆病だったせいで、いつの間にか破れた恋。でもいっか。この関係が心地いいから…。【HPに掲載中の「幸せのカタチ」のSideStoryです。よろしかったら本編もご賞味下さい】
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「お邪魔しまーす…うっわー、いつもいつもきったねー部屋!」
「…部屋が汚くたって死なないだろ」
「〜!これだからお前はっ」
遊びに来るなり、がしがしと部屋を片付け始める中学んときの同級生。
名前は、瀬野 陸。
最近遊びに来てくれないから、部屋がいつもより汚くなった。
中学ん時は飽き飽きする程俺ん家に入り浸ってた癖に。
来なくなった理由は…彼氏ができたから、らしい。
彼氏。
彼女じゃなくて?って何度聞いたことか。
…男がOKだって知ってたら俺だって告白したのに。
まぁ、すべては俺が臆病なせい。
「美味い酒持ってきてやったんだから有り難く思え」
「うぉ、まじか!」
陸は時々こうして酒を持参して愚痴りにくる。
彼氏の待つ家には仕事の話を持ち込みたくないんだと。
「今日は飲め飲めー」
「おうっ飲むぜー」
でも陸は絶対日付が変わる前に帰る。
同居人に彼氏を独占されたくないんだと。
なんだか複雑だなぁ…と呟いたら、『いやーそうでもないぞ。俺ら二人が那岐を好きで那岐が俺ら二人を好きなだけだ』なんて笑って言い切られた。
「この幸せもんめーうりうりー」
陸の頭を抱えて頭をぐりぐりする。
「ちょ…やめろって。擽ってぇ」
でも、幸せそうな奴を見るのも悪くない。
だって最後に愚痴りに来るのは俺の所だし。
まぁ、いつ俺のところに愚痴りにこなくなるかわからないけど。
だって大好きな人に愚痴を打ち明けたほうが心が満たされるから。
きっと陸の相手は受け入れてくれる。
恋人に甘えればいいのに。
でも言わない、教えない。
この関係が心地いいから。
実らない恋だってわかってるから、もう少しだけ。
「だからなー…俺言ったんらよー…」
酒に強い陸よりも少しだけ強い俺だけが、酔った陸を見れる。
「…ってあれ、陸?寝ちゃったのー?」
頬をつんつんつっつく。
起きる気配なし。
少しくらいいいよな…?
酔い潰れた陸の頬を俺の唇が掠める。
俺はこれだけで我慢するから。
…この恋を卒業できるまで。
しかし陸のやつ…無防備に寝やがって。
…日付が変わる前に起こしてやるか。
「また愚痴りに来いよ?」
満更でもない失恋だってある。
【完】
2007/08/21
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