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好きなのは、
R指定:無し
キーワード:甘々バカップル
あらすじ:些細な事で恋人と喧嘩。彼の居ない朝は物足りなくて…
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それは、本当に本当に、
―――些細な理由だった。
朝から5回目の溜息を吐いた。
寝起きは最悪だった。まず求めたのは温もり、そして柔らかい笑顔と共に頬に添えられる手、「おはよう」の挨拶。
「カジのばぁーか…ばか、ばかばかばか……」
連絡一つない携帯をにぎりしめながら、壁に貼ってある彼のポスターに向かって悪態を吐く。
こんなことなら許してあげたら良かった。たった数分の遅刻だったんだけど、知らない女と一緒に居たって聞いたら嫉妬心でいっぱいになってしまった。
俺って心が狭いのかな。
だけど、大好きだから優しくしたいし、大好きだから本気で怒ることが出来る。
「なんだよー…謝りに来い…」
俺はまた意味もなくポスターに向かって指を指したわけで、言葉が返ってこないことに虚しさを感じた。
近くにあるピローを腕に抱き、柔らかな布に顔を埋める。彼の匂いがして、キュッと胸が痛かった。このピローは彼のものだ。俺の枕は彼の腕だから…。
「カナメ、ちゃん…何やってるの?」
その声に顔を上げれば、会いたくて会いたくて…会いたくなかった彼が立っていた。
困ったような笑顔で俺を見てくる。だけどなんだか嬉しそうにしていて、それが頭にきて先程まで顔を埋めていたピローを彼に投げ付けた。
「いでっ…、カナメちゃんッ」
うわ、顔面に当たった。面白いのに涙が出るのは何故だろう。
「カ…ジ?」
駆け寄られてギュウッと抱きしめられる。瞳から溢れ出す液体を舐めとられ、その唇が自然に俺と重なった。
腕の中が幸せだった。
彼の笑顔が苦しかった。
こんな気持ちになってしまうのは、やっぱり俺が彼を好きだからで……
「まッ、待ていっ!!」
下腹部に延びてきた手を掴み、俺は彼から身体を離す。彼は不満げに頬を膨らますが、少しくらい意地悪しても許されるはずだよね。
「カナメちゃん、俺したいよ」
「エッチはやだ」
だってまだ、俺はカジを許してあげたわけじゃないんだ。俺のことが好きなら我慢して反省しろっ!
「ごめんってば、」
「やーだ、……キスだけね?」
それから俺達は、
愛を確かめるような、
長い長いキスをした――。
Fin
※サイトは18禁です
2007/09/24
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