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 カエリミチ
© 紅暁 
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「寒い…寒い寒い寒い!寒いぞ深春!」

師走ともなると日が短い
暗い帰り道、並んで帰っていたら急に時雨が叫びだした

「そりゃぁ…冬だからね?」


当たり前のことを言ってあげると、予想通り不満そうな顔で見上げてくる


「それに、手袋もマフラーも持ってこない時雨も悪いんじゃないの?」


さらに言えば部活での汗で湿った髪も原因なんじゃないかな?

膨れ顔を見ながら思った


「うるさいなー。…手袋やれよ」


手袋もマフラーもしている僕に向かって言う
しょうがないなぁ…


「ほら、どうぞ」


右手の手袋を渡してやる


「左手は?」


怪訝そうな顔をして伸ばした時雨の左手に、僕は右手の指を絡めた


「ぁ…」


さらに首に巻いていた黒いマフラーを、僕らの繋ぎ目に絡ませてやる


「こうすれば暖かいでしょ?」


笑顔で問いかければ、時雨は寒いのに茹でタコ状態になっていた


「〜ッ!お前が1番寒いんだよ!」


ひどいなぁとつぶやきながら、僕は時雨にくっつく


「か、帰るぞ!」


照れ隠しに強い口調で時雨は言うが、足取りは遅くなっている


指摘するとまた膨れるから、おとなしく歩く

僕だって長く一緒にいたいからね



−明日はちゃんとマフラーとか手袋、持ってくるんだよ?


優しく言ってやったけど、時雨は紅い顔のまま黙っている


明日も今日みたいに帰りたいのかな?


指摘しようと思ったけどまた膨れるから、僕は小さな手をギュッと握りかえし、ゆっくりと歩いた



今日の帰り道がいつもより長いルートになったことは暗黙の了解

僕も時雨も、指摘しなかったからね










2007/12/20
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