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 嘘じゃないけど
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「ねぇ佳那汰」

「なんですか紀平さん」

「佳那汰佳那汰佳那汰佳那汰」

「静かにして下さい」


深夜のアダルトショップ、俺はパソコンに向かってカタカタとキーボードを鳴らしていた。

すると、紀平さんは訳の分からないことをブツブツと言い出すじゃないか。

とうとうイカれたか?

俺は湯気を立てる珈琲を飲みながら思う。


「佳那汰ー」

「……」

「大好き」

「……はぁ」


紀平さんは後ろから俺に抱き着きながら呟く。

俺は返答に困り、適当に相槌をかます。

男から言われても嬉しくない。

頭ではそう思うが、どうやら体は違うらしい。

次第に顔が熱くなっていくのがわかった。


「佳那汰大好き」

「俺も好きですよー」

「…本当に?」

「嘘です」


少し流れる沈黙。

紀平さんはそんな俺の発言に沈む。

あぁ、鬱陶しいな。

そう思ういながらもキーボードを叩く指は止めない。


「大好きですよ」

「佳那汰…っ」


俺が溜め息混じりに言えば、紀平さんは目を輝かせながら抱き着いてくる。

不意にキーボードを叩く指が止まる。

紀平さんの体温が俺の中に流れ込む。









「勿論嘘ですが」




END









2007/12/30
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