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 事実無根
© いれあ 
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 キーワード:キーワード:可愛い 腹黒 
 あらすじ:あらすじ:可愛いあいつに騙されるな!
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俺はあまりしゃべるのが得意ではない。
誰かとつるむのも苦手だ。
一人で居るのが嫌ではない。
だからいつも、一人の空間になれる所を探す。

「たきー!滝ってばー!!」

なのにどこに居ても、こいつはいつも俺の後をついてくる。

「滝、どこいくのー?」

俺を見つけては、満面の笑顔で走り寄ってくるこいつは、同じクラスの葛西。
俺はこいつと仲良くなった覚えはない。
ただ、『滝ってでかいなー!!』と輝いた目で見られたのは覚えている。

葛西は俺から見なくても小さい。
俺の身長は190。葛西の身長はしらないが、腹ぐらいだから150ぐらいだろうか。

「葛西」
「なになにー?」

俺が呼ぶと、嬉しそうに俺を見上げてくる。

「俺の後を追ってくるのはやめろ」

俺の言葉に周りがどよめく。
他の言い方があるのかもしれないが、俺にはこうとしか言えない。

「やだ」

キッと俺を睨み、あろうことかこんなことを叫んだ。

「滝じゃないとダメなんだもんー!!」

慌てて葛西の口を押さえた所で言葉は取り消すことは出来ず、周りが騒ぎ出す。
とりあえず、小さな体を脇に抱え、逃げる事にした。


「んーんん!!!!」
「あ、ごめん」

逃げた俺の隠れ家、科学室。
俺の手に口を押さえられていた葛西がもがいていた。
慌てて手を離すと、ゼーハー息をする。

「滝の、てっでかいから、息出来なかった!!!」
「ごめん…」

その後、葛西はあっはっはと軽快に笑う。

「ねぇ、みんなどう思ったかなぁ〜?」

いつもなら可愛らしく振舞う、葛西がにやりと笑う。

「マジで俺に付きまとうな…」
「やだよ、さっきも言ったじゃん」

さっきまでの可愛らしい「やだ」とは違い、アホかと含まれているような言い方だ。

「滝って余計なこと言わないし、一緒に居るの楽なんだよねぇ」
「お前の都合なんか聞いてねぇよ…」
「俺もお前の都合なんか聞いてねぇよ」

ほんっとに勘弁して欲しい。
何が気に入られているのか分からないが、俺の前ではいつもこうだ。
背が高いってだけで、何の取り柄もない俺に執着する意味がわからん。

「滝、俺から逃げられるなんて思うなよ」

俺の静かな暮らしは音を立てて崩れていったような気がした…。

【END】







2008/01/07
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