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 ごはん
© 朋月 
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 R指定:有り
 キーワード:15禁 獣 愛がないようである
 あらすじ:獣じゃなく魔物の狼。それは淫魔のようなもので、性行為がそのまま、お食事になります。
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すがすがしい朝だ。

ぴちぴちと、なんか鳥が鳴いていて、

今からまた一日が始まる、っていう、穏やかな一時に。


「タル、お腹すいた」


こんな事を言いながら
しれっと俺に、後ろから抱きついてくるのは、


ユウという狼。


狼といっても、獣じゃなくて魔物の狼で、
こいつの『食事』とは…

イコール俺との……アレだ。

……まあ、話の流れで察して欲しい。
俺は、言いたくない。


「うん……」


別に断れないわけじゃないが、
何となく断らない、俺。


というか、断ってる暇も与えてもらえない。

俺が、『うん』と言う前に、もうユウの手は、
俺の体を撫で回している。

……俺の返事が『はい』だろうが『いいえ』だろうが、こいつにはあんまり関係ないんだろうな。

「……ん…ぅん…」

ユウは
人間ならば踏むであろう
いろいろな段階を無視して、

いきなり
ガチで触ってきている。


どこを触ってきている、だとかそういう事は、言いたくない。

ぐい、と体が宙に浮かされて、ベッドに運ばれる。


「…ね、タル……たまには上に乗っかってみる?」

俺を運びながら
ユウが耳元で、ささやく。

「ぅえ…ッ!?」


ベッドに転がされた俺は(いつの間にか、既に半分は剥かれている……!)、ユウが放った言葉を聞き返す。

「主導権がね、タルにあるって事だよ」

ユウは、目をつむって楽しそうに笑いながら、
そんなことを言う。

「…なんだよ、主導権って」

俺の隣に、仰向けで寝たユウの顔を覗き込む。

なおも楽しそうに笑っているが、ユウは目を開けて、俺と視線を合わせてくる。


「いやまあ、タルのやりたいようにやっていいって事かな」

……それは…絶対、恥ずかしいだろ……。

「や、やだよ。そういうの……」

少し、想像してしまう。



……ヤバい、絶対ヤバい。

首をぶんぶん横に振って、

頭に出現した、
すさまじく卑猥な空想を追い払う。


「あれ?タル……想像、してる?」

ほ、ほっといてくれ……。

首をぶんぶん振っている俺の様子で、
ぴんときたのか、ユウは首をかしげながらも、俺の状態を言い当てる。


…これは、否定しとかなきゃだな。

「想像してないから。いつもみたく、お前がやればいいよ」

「えー、なにそのやる気無い感じ」

「やる気無いわけじゃないから。ほら、俺もまだそんなに経験豊富なわけじゃないし、まだ早いかなー、って」

適当にごまかしておく。

「…なんか男らしくないなぁ。まあ、いいや。じゃあ、せめてキスだけでも」

「え……」

「ほら、どうぞ」


……どうぞ、じゃねーよ。

ユウは目を閉じて、待っている。

まあ……それくらいなら……いいか。

ぐい、と顔を近付けて、ユウと鼻先を合わせる。

「ユウ………」

何となく名前を呼びながら、そっと唇を重ねる。


簡単に済ませるつもりだったから、すぐ離れようとする………

が。


ユウが、片腕でしっかりと俺の腰を抱く。
ついでに空いてる方の手で、俺の頭をロックして、全く放す気が無いらしい。


「……んぐ…ッ…んぁ…んー……」


ちょちょ……




苦しい……

その上、水音が漏れ始め、それが耳に響いて、恥ずかしいったらない。


どんどん


ユウの胸を叩き、苦しい事を示すが、かといって放してくれるような気配は無い。

「んんーッ!あ…むぅ……んーんぐ……ぅ…」


それどころか舌を入れてくる。

口内を侵される感覚。


舌の動き、唇の感触に集中していると、


今後は、手。


俺の腰を抱いていた手を、少し下にズラして


おいたをする。


「あ……ふぐぅ……うー……や、やめ……やぁ……ん…」


やっと唇が解放され、自由になる。

『苦しかった、何をするんだ』と、非難を唱えるはずの俺の口は、

それとは違って、ユウを求めるような声が溢れてくるばかりだった。


けれど、ユウはそれから先を続けてこない。


ただただ、俺を試すように見つめている。


「………ユウ……?」


近頃、めっきり火がつきやすい体になってしまったような気がする。


もっと欲しいと、それだけを望んでしまう。


やり過ごす事が出来ない、どうしようもない

体がうずいて、やりきれない。


名前を呼んでも、ただ俺を見つめている。

沈黙に耐え兼ね、尋ねる。

「……なに?……やれってこと?」


ユウの上に、もたれかかって、頬杖ついて
顔を見つめていても

どうやらユウは、俺の欲しいものをくれそうにない。

生殺し

意地が悪い奴だ。



わざと人をあおるようなキスと、中途半端な触り方をして、
止める。


「やれ、なんて言ってないよ?ただタルがしたいなら、どうぞ?」

言い終わって、自分の意地の悪さに気付いたのか、
肩を震わせて

くくくッ

とユウは笑った。


「なんだよ、お前のメシだろ?そもそも、なんでちょっと上から目線なんだ……」

不満を口にする俺。

なにかしら不満でも言いながらじゃないと、
恥ずかしくってやれないような事を、今から俺はやる。


俺が、ユウのズボンのベルトに手を掛けていると、

ユウが言った。

「どうせ食べるなら、よりおいしく食べたいでしょ?人間と一緒だよ」


……。


「…おいしさとか変わんの?ていうか、おいしさとかあるのかよ?」


ベルトを外してやって、前を緩めて……

俺は体を起こした。


「あるさ。おいしい、というか相性みたいなもんだけどね。………いれようか?」


ユウは、俺が上にまたがったまま、その次の手順をうまくやれないでいる(…だって見えねーし…)のに気付き、

手伝ってくれた。

「!?うあッ!!ゆ!ユウ!!いきなり……ッ!」


突き刺さる。

体が真っ二つになるような、いっぺんに貫かれる衝撃。


動かせるようになるまで、慣れが必要だ。


目を閉じて、
はあはあと呼吸して、慣らしていると、ユウが静かに呟いた。


聞こえるか聞こえないかギリギリの、小さな声で。


「…ほんとは、なにもしなくても……君が一番おいしいよ、ワタル……」


はっと目を開けた。

視線を下ろしたら、

ユウと目が合う。


ユウは、何事もないかのように

ただ、無邪気な笑顔を見せた。


けど、その目はどこか淋しそうだった。


少なくとも
俺にはそう見えた。











2008/01/11
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