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縛り名
R指定:無し
キーワード:俺様攻め/強気受け/時代/ファンタジー
あらすじ:退魔師のサポート、寄せ役の彼は、今日も俺様な退魔師相手に頑張ってます。。
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「おい、ヨセ」
「だから私をヨセと呼ぶなッ」
「では紫、ちょっと笑え」
「あっははははは、はははッ、はははははははは」
「もういいぞ」
「なに考えてるんだアホカガリッ!!」
私は、村で殯(アラキ・死人の埋葬まで一時的に安置する祭壇など)の守り役……だった。
「無意味に笑わせるな、ハラワタが捩れるかと思っただろうがッ!!」
「それはそれで見物だ」
私の家に尋ねてきたこの野郎、ぼさぼさな癖に見事な紅の髪を高い位置で束ね、腰に刀を携えた男……。村ではまだ若い、だが腕の立つ退魔師、カガリ。
私は、奴の初陣の時にアヤカシを寄せる「寄せ役」に選ばれ、そのせいで奴に真名を握られた。
真名は、普通の人間が呼んでもなんの差し障りもないが、チカラのある者に唱えられると、その意に逆らえなくなる。
私の村は退魔師やら、ともかくチカラを持つ者が集まって暮らす村だから、村人の誰も、真名を堂々と名乗る者はいない。
私の仮の名前は、アザミ。……琵琶を奏でる、楽師だ。
「さて、紫」
「だから呼ぶな、他の奴に聞かれたらどうするんだ」
「そんな奴がいたら消すに決まっているだろう」
「ンなことしたら村が全部敵に回るッ!!」
「俺は構わんぞ? ……お前が手にはいるなら……」
悪寒が走る。冗談じゃない、このろくでなしの変態め。
恍惚とした表情が、様になっているのがなお恐ろしい。
私がげんなりした顔をしていると、ふとカガリが表情をすぅっと消した。
「明日の夕刻、5人、退魔師が出る」
「……!」
カガリの言葉に、口を噤む。5人はかなりの人数だ。
アヤカシの邪気の程度によるが、人間を殺せる程度のアヤカシでも10匹ほどまでは1人で対応できる。
それが、5人……。一体、どれだけのアヤカシを相手にするのか。
「むろん、俺もその1人だ」
「だろうな」
村の中でも長老達に手練れとして認められる腕を持つカガリなら。
……だが、次の瞬間カガリが放った言葉に、私は目を瞠った。
「寄せ役は2人だ。ミヤとタヅサが出る」
「女!? 何故!」
「女でなければ、寄せられないからだ」
…………そういう類のアヤカシは、大体色魔と相場が決まっている。
「このところ、アヤカシの子を産む女が多い。だから、山狩りに出る」
「……退魔師5人が出るようなアヤカシ相手に、ミヤとタヅサを護れるのか」
「だから5人なんだ。そのくらい分かれ」
それは……分かるが。
なんだ、このモヤモヤした感じ。
「ヨセ、俺と行けないのが不服なのか?」
「…………別にッ……」
ニヤリ、と笑う顔から、思い切り顔を背ける。
頬が妙に熱を持つ……風邪、風邪だ。
途端、カガリの手が延びてきて、思わず身を引いた。が。
「紫……」
耳元で囁かれて、思わず肩を竦める。
身体の自由が利かなくなる。
「俺が心配か? 紫……正直に言え」
「…………心配だ」
あぁ、ダメだ、頭がクラクラする。
「ならば、今宵は俺にお前を寄越せ、紫」
「ッあ、」
耳に滑り込む声に、頭の中をかき回されていく。
毒のような言葉が、ゆっくりと私を犯す。
私は、もう、カガリから逃れられはしない。
2008/02/21
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