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 狼少年はウソをつく
© カナメ 
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 R指定:---
 キーワード:幼馴染 片想い 物語重視
 あらすじ:本当の気持ちと反対な言葉を吐く、狼少年の勇気と思い。
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お前のことなんか、好きじゃない。
お前のことなんか、好きじゃない。
お前のことなんか、好きじゃない。

お前のことなんか、絶対…





アイツが俺をバカにしたように、俺に聞いてくるものだから…
俺は、ムキになって返す。

「なぁ圭介、俺の事好き?」

「んな訳、無いだろッ…!!!」


大嫌いだよ。

お前のことなんか、好きじゃない。


毎日毎日繰り返される質問に、
毎日毎日繰り返す返事。

「まったく、素直じゃないよな…圭介は。」
「ふざけんな!…誰が、お前なんかッ!」

数歩前を歩く剛に、俺はついていく。
ムキになって必死になっている俺はきっと真っ赤になっている。
決して、それ意外に意味なんて無い…絶対に。

「本当に、狼少年だよなぁ〜」
「誰が!?」

剛が急に後ろを向いて、ん!と俺の目の前に指を突き出す。
そして、また前に向いて歩き出した、そして一言呟く…

「圭介が」


「ふざけんな!誰が誰にウソついてるっていうんだよ。」

「まぁ…可愛いから、今は許すけど。」

急に立ち止まったので、俺は剛の背中にぶつかってしまう。
文句をいってやろうと思ったら、さっきよりも小さな、落ち着いた声で話し出したので、俺は黙り込んだ。

「そうやって…」

「何だよ、」


「いつまでも、ウソついてるとさ…」

「ウソじゃねーよ!」



剛が俺の顔を真剣に見つめる。
その表情が、俺の胸の奥のずっと奥の方を熱くさせた。


「いつか、信じてあげれなくなるよ…」



呆然と立ち尽くす俺を置いて、剛が歩き出す。
だんだんと小さくなる背中、それが切なくて悲しくて…

熱くなった胸が更に熱くなって、痛み出した。



「何で、何で俺が言わなくっちゃいけないんだよ。」

袖をギュッと握って、そう呟くけど、この距離では、アイツには聞こえない。

何で、俺に求めてくるんだよ。
何で、自分から言おうとしないんだよ。
何で、ウソつきとか言われなきゃならないんだよ。
何で、俺がお前のこと、好きだって知ってるんだよ。


でも、お前がそんな顔するくらいなら…


俺から、告白くらい、してやる。






「まだ、間に合うよな…?」


俺は、どんどん先に進む背中に向って走り出す。
そして、ぶつかるように勢いで、前に回ると、剛の顔を睨みつけた。
驚いたような剛の表情が見えて、ざまーみろ!と思う。








狼少年はウソをつく
構って欲しいとウソをつく

毎日、毎日、自分の気持ちを隠すように。

そのウソが本物になる前に。
そのウソが信じてもらえなくなる前に。


――― 狼少年は、真実を伝えなければならない。

「お前のことなんか、好き…だ、バカ」





――― 本物の狼が来る前に。




end.







2008/02/22
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