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 かくれんぼ
© 藤海 
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 キーワード:双子 甘 ハピエン
 あらすじ:「やっと見つけた」 双子の兄弟が長年隠していたものとは…?
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「かくれんぼしよう。有真(アリマ)が鬼ね」
 記憶の中の双子は笑う。
 俺は10数えて言う。
「もーいーかい」
「もーいーよ」
 だけどいくら探しても見つからない。
「…優真(ユウマ)!」
 心配になった俺は声を上げて叫ぶ。
 だけど…。

「……真、有真」
 頬を叩かれて目が覚める。
「優真…?」
「何俺呼びながらうなされてんだよ。朝だぞ」
 …朝…。夢だったのか……。


 キーンコーン。
 昼飯を知らせるチャイムが鳴った。
「トイレ行ってくる。先に食べてて」 
 優真はそう告げて教室から出ていく。
 俺は友達と教室で弁当をつついていた。
「…優真…遅いな…」
 ふと今朝の夢が脳裏に映る。
 俺は嫌な予感に教室から飛び出す。

 あのかくれんぼの最後。
 一緒なら、優真は……!
「優真ぁーっ!」
 野性のカンか双子のカンか。
 俺は真っ直ぐ体育館裏を目指す。
「…っ、だから、やめっ!」
 何かに抵抗する優真の声。
 見ると何人かの生徒が優真を囲んでいた。
「…っめーら…優真に何してんだぁっ!」
 怒鳴ると、男たちは焦ったように散って行った。
「優真!大丈夫か!?」
 俺が振り返ると、優真は嬉しそうに笑った。
「…来てくれると思った。あの時みたいに」
「バカ。笑ってる場合じゃねーだろ」
「だって…嬉しいんだもん。…俺さ、本当は有真のこと…」

 好き。と優真の唇が動く。
 俺はその言葉に真っ赤になった。
 何て答えていいか分からない。
 だけど、気持ちなら決まってる。
「…俺…も……」

「長いかくれんぼだった」
 優真が笑う。

 本当にかくれんぼしてたのは
 俺たちの気持ちだったのかな…?

 もーいいかい?
 まーだだよ。
 もーいいかい?
 もーいいよ。

「優真、好きだ」
「俺も。有真が好き」

 素直な気持ちを見つけた。








2008/04/21
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