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 意識
© いれあ 
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 あらすじ:きっかけ
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あれは中学2年の夏。
その日まで何とも思っていなかった兄さんを意識した日。

暑い夏の日。
僕は夏季講習のため制服で出掛けた。
制服は通気性が悪く、にじみ出る汗を吸ってくれない。
なのでベタベタした感じが嫌だった。

帰ったらすぐにお風呂行こう…。

そう思って家のドアを開けた。
スーッと冷たい風が肌を撫でた。

「兄さん…またクーラーがんがんにつけて…」

兄さんは暑がりだ。
そのせいでクーラーをつけっぱなしにして眠るから、母さんに怒られていた。
鞄を玄関に置き、兄さんが寝ているであろう居間へ行く。

「ただいまー…っと」

冷蔵庫から麦茶を取り出して、寝ている兄さんの分もコップにつぎソファーへと移動する。
ソファーで眠る兄さんはタンクトップに短パンという最大の軽装をしていた。

「にいさ」

そこまで名前を呼んだ時に、コップから水滴が落ち兄さんの足を伝って落ちた。

「ひァっ!!」

決して色気のある声じゃなかった。
…でも。
真っ赤な顔と水滴が短パンの中へ入って行った偶然とで、意識してしまった。

泣いたらどんな顔するんだろ、と。

「起こすなら普通に起こしてよ!!」

怒る兄さんに対し、ありとあらゆる思春期の妄想が駆け巡った。

「ごめん、お風呂行く」
「こら!!本当に悪いと思ってないだろ!!」

後ろで兄さんがギャーギャー言っていたが、僕はそれどころじゃない。
熱くなる下半身を信じられない気持ちで抑え、お風呂に向かった。

その日から誰と居ても、あの時の兄さんほどドキドキすることが無くなってしまった。
少し距離を置いたら、気持ちが落ち着くんじゃないかと思った。
なんの効果もなかった。
だから諦めることにした。
気持ちに素直になろうと思った。
無償の愛情を注いでくれる兄を邪気に扱っても、自分に得にならないと分かった。
ならいっそ、その愛情を自分だけのモノにしようと思った。
勘違いでもいい、僕だけを特別に思うように。
大切に大切にしよう。
純な兄さんをうまく丸めこめる自信はある。

僕以上の相手が現れませんように…。

【END】

「そばにいて」の兄側の話が元です。







2008/05/08
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