返信する
ほどけない指先
R指定:無し
キーワード:不良×優等生
あらすじ:不良の中(あたる)に振り回され、困惑しながらも何故か拒めない優等生のぞむの話。
▼一番下へ飛ぶ
「勉強なんてやめて、もっといい事しようぜ」
読み掛けの本をこれみよがしにバサッと閉じて、中はニヤッと笑った。
形良く整えられた眉を見た瞬間、背中がゾクっとする。
「ここは、図書館だぞ……勉強する場所だろ」
「つまんねぇ〜〜の。もう1時間も付き合ったんだから、そろそろ俺に付き合えって」
中の手がヤワヤワと俺の太腿に添えられた。
「あたるっ!!ふざけんなっ」
「シーッ、図書館は勉強するとこって、さっき自分が言ったんだろ?でかい声出したらみなさんの迷惑だぜ」
茶髪を通り越し、金に近い髪を中は余裕綽々で掻き上げ、俺の肩をグイッと引き寄せた。
頬に触れたピアスの冷たさと、突然された大胆な行動に途端動揺してしまう。
「本なんか読めないように、メガネは外そっか〜」
「――やめっ!勝手な事するなっ」
奪われたメガネを取り換えそうと手を伸ばすと、それさえ計算済みだったらしく、いとも簡単に中の手に阻まれてしまう。
「もぉ、真面目クンは勉強以外はほんとドン臭ぇなぁ」
手首を掴まれたまま、俺は微かに震えた。
「あれ?のぞむビビってる?」
フルフルと首を振る俺に、益々気を良くした中は、いつもの意地悪な顔で笑って見せた。
「大丈夫、いつだって優しくしてやってんじゃん、俺」
含みたっぷりの声が、俺の脳みそを溶かしていく。
……そうだ。
いつだってこの不良男は、最後にはとろけそうなくらい優しく俺を抱く。
「……だからタチが悪いんだよ……」
けっきょく俺は、無鉄砲で常識知らずのこいつを、いつだって拒めないんだ。
-END-
2007/01/18
▲ 始めに戻る
作者のサイト
B A C K