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 ほどけない指先
© まゆき 
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 R指定:無し
 キーワード:不良×優等生
 あらすじ:不良の中(あたる)に振り回され、困惑しながらも何故か拒めない優等生のぞむの話。
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「勉強なんてやめて、もっといい事しようぜ」

読み掛けの本をこれみよがしにバサッと閉じて、中はニヤッと笑った。
形良く整えられた眉を見た瞬間、背中がゾクっとする。

「ここは、図書館だぞ……勉強する場所だろ」
「つまんねぇ〜〜の。もう1時間も付き合ったんだから、そろそろ俺に付き合えって」
中の手がヤワヤワと俺の太腿に添えられた。

「あたるっ!!ふざけんなっ」
「シーッ、図書館は勉強するとこって、さっき自分が言ったんだろ?でかい声出したらみなさんの迷惑だぜ」

茶髪を通り越し、金に近い髪を中は余裕綽々で掻き上げ、俺の肩をグイッと引き寄せた。
頬に触れたピアスの冷たさと、突然された大胆な行動に途端動揺してしまう。

「本なんか読めないように、メガネは外そっか〜」
「――やめっ!勝手な事するなっ」

奪われたメガネを取り換えそうと手を伸ばすと、それさえ計算済みだったらしく、いとも簡単に中の手に阻まれてしまう。

「もぉ、真面目クンは勉強以外はほんとドン臭ぇなぁ」

手首を掴まれたまま、俺は微かに震えた。

「あれ?のぞむビビってる?」

フルフルと首を振る俺に、益々気を良くした中は、いつもの意地悪な顔で笑って見せた。

「大丈夫、いつだって優しくしてやってんじゃん、俺」

含みたっぷりの声が、俺の脳みそを溶かしていく。

……そうだ。
いつだってこの不良男は、最後にはとろけそうなくらい優しく俺を抱く。

「……だからタチが悪いんだよ……」

けっきょく俺は、無鉄砲で常識知らずのこいつを、いつだって拒めないんだ。



     -END-







2007/01/18
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