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 駆け引きの代償(R18)
© 月猫 
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 R指定:有り
 キーワード:学園/生徒会長×チャラ男/セフレ/浮気/高校生/リバ
 あらすじ:幼なじみで腐れ縁の要と寛人の不器用で不健全な青春。
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 別に、どうでもいいけどなんかムカつく。こいつ、俺んとこに遊びに来たんじゃなかったっけ。


「へえ。彼女、綺麗になったね」
「ははっ、そんなこと言っても何も出ないよ?」
「なんでそんなこと言うのよー」

『お前んちに行っていい?』

 そんなメールが来たから、

『来たいなら来れば』

 そんなメールを返したけどさ。よくよく考えたら、俺に用があるだとか遊ぼうだとか、やろうだとかは書いてはいなかった。

 それに、彼女と一緒ってことも書いてなかったじゃん。別にどうでもいいけど。

 そう心の中で独りごちながら、二人に背を向けた。



 別にどうでもいいけどね。寛人はシン兄とも仲が良いし。

 寛人は一人っ子で兄弟がいない。家も近いし幼なじみとして育った寛人は、俺たち兄弟にとっても兄弟の一員のような存在で。

 今夜はシン兄の職場の週一の定休日で、たまたまシン兄が居合わせた。それはそれで別にいいけど、彼女まで連れてくることないじゃん。

 なんて、どうでもいいことをうだうだ考えながら、自室に戻ってベッドに突っ伏した。




 寛人とはただの腐れ縁の幼なじみで、お互いにの間に恋愛感情は微塵もない。ただ、初体験のほとんどを寛人と済ませたから、情が移っているだけだ。

 確かに、寛人に男としか恋愛できないことを気付かされたけど。

 それは寛人が好きだったからじゃなく、好奇心から関係を持ったからだ。


 だから別にどうでもいい。寛人はバイセクシャルで彼女がいて、俺には彼氏がいて。そんなことは別にどうでもいいけど、彼女を連れてくる必要はないだろうが。

 なんとなく、悶々とした苛立ちを感じていると、

(――――コンコン)

 聞き慣れたノックの音がした。

 無視してやる。


(―――コンコンコン)

 一回増えた。

 再び無視。

(―――コンコンコンコン)

 もう一回増えた。

 三度(みたび)無視。

(―――コンコンコンコンコン)

 またまたもう一回。

 意地になって無視してみる。

(コンコンコンコンコン・・・・)

「ああ、もうっ。うるせ」

 いつまでも鳴りやまないノックに閉口して、仕方なしにドアを開けてやった。



「なんか用?」

 こいつはチャラく見えて、実は結構思慮深い。了解を得てからじゃないと行動に移さないし、それは俺に対してに限られたことでもないけど。

 多分、放っておいたらずっとドアをノックし続けたんだろう。

 そう思ったからドアを開けてやっただけだ。

「用がなきゃ来ちゃいけない?」
「彼女は?」
「邪魔だから帰らせた」
「・・・・・」

 別に、気にしてた訳じゃないけどね。俯せから仰向いて天井を見つめていたら、寛人が俺のベッドに寄ってきた。



「なーに拗ねてんだよ」
「別に」
「なんだよ拗ねてんじゃん」
「別にって言ってる」

 確かに、ちょっと機嫌が悪いけどさ。寛人は別に気にしてないようで、ベッドに腰掛けた態勢から身を寄せてきた。

「妬いてる?」
「妬いてない」
「ふーん。俺はヨウが七海ちゃんといたら妬けるけどな」

 なんて思ってもないことを言いながら、俺のズボンのベルトを外しに掛かる。



 ムカついた。なんでか知らないけどムカついた。なんでこいつはいつも、こんなに自分勝手なんだよ。そう思ったら。

 仰向きから態勢を変えて、俺は寛人をベッドに組み敷いた。





「なに。いやに積極的だね」
「尻貸せ」
「えー、今日は借りようと思って来たのに。まあ、別にいいけど」

 どうせ、そんなことだろうと思った。寛人と俺とは、それしかすることがない。

 幼なじみといっても性格も嗜好も正反対で、たまたま同い年だったから一緒にいただけだ。寛人が好きな音楽や遊びなんかにも興味がないし、話題がない。子供の頃はそれなりに学校の話なんかもしてた気もするけど。

 今はたまに恋愛の相談にのってくれるくらいで、行動範囲も交友関係も全く違っている。

「・・・煽んなよ」
「なにが」

 妬かせようとしてただろうが。別に妬いてないけど。

 そんなどうでもいいことを考えていたのはそこまでで、俺は寛人の躯に溺れていった。








「・・・んっ。あ、んっ」

 案外、寛人はセックスの間に可愛い声を出す。普段は気まぐれで何も考えていないようで、実はかなりの策士でもある。

 今回のことも、もしかしたら寛人に嵌められたのかも知れない。そう思うとなぜか悔しくて、わざと酷くしてしまう。

「――――っっ、ああっ!」

 無理矢理窄まりをこじ開けて、中指を一本突っ込んだ。寛人の先走りでいくらか濡れてはいたが、さすがにそこはまだ硬かった。

「力抜けよ」
「ばっ、バカやろっっ!」

 ローションを使えと息も絶え絶えに言ってくる寛人を無視して、なかをぐちゃぐちゃに掻き混ぜた。




(――――ぐぷっ、ぢゅっ)

 内壁を守る為の粘液と僅かな先走り、俺の唾液で音が立つ。何度も繰り返された行為にいくらかこうやって解してやれば、寛人の尻孔もすぐに口を開けるようになった。

「――――っっ、ああっ!」

 寛人の尻孔は、簡単に四本の指を根元まで飲み込んでしまう。激しさを増す行為に喜ぶ躯は、淫らに朱く染まっていた。

「これなら、ローションはいらないな」
「ばっ――――、ああっっ!」

 ついでにコンドームもいらないよな。ここは俺の部屋だし、別に精液で汚れても支障はない。服も脱ぎ捨てて床に蹴落としてあるし、こちらも汚れる心配はない。

(――――つぷ)

「・・・んっ」
「ひぃあっっっ!」

 寛人の窄まりに自身を宛がえば、俺自身の重みで寛人の中へ沈んでいく。シーツを掴んで俯せた寛人の腰を掴んで、いきなり律動を開始した。



「なあ、ヒロ。こういうの好きだよね。お前」

 見た目に反した変態さんだもんな。そう耳元で言ってやると、躯がびくりと反り上がる。がつがつと遠慮なく腰を使った。こうされると寛人が喜ぶことを経験上、よく知っている。




 ああ、そっか。
 やっとわかった。

 やっぱ、お前。煽ってたんだ。

 尻孔を掘られたくてさ。だから彼女を連れてきたんだ。



 寛人とするのは嫌いじゃない。そうして寛人自身のことも。

 だから、今回のことも別に気にしないことにした。俺の下で悶える寛人がなんだか可笑しくて。


「出すよ」
「ちょ、待っ、ヨウっ。―――あああっっ!」

 追い込みを掛けた俺は、寛人の尻孔に精液をぶちまけた。




「はぁはぁはぁ」

 虫の息の寛人を壁に向けて反転させれば、ぱっくりと口を開けたままの尻孔からどろりと精液が流れ出る。

「ヨウ。お前なあ・・・」

 その後は言葉にならなくて、寛人はただ、俺の胸に顔を寄せてきた。寛人は俺とほぼ同じ身長で、寛人の方が俺より少し背が高いくらい。


 そんな寛人を可愛いと思ってしまう俺は、もう終わっていると思う。

 ・・・いろんな意味で。




end.



下のスレッドの「二人の時間」に登場する新田家三男の要(ヨウ)のお話。







2009/01/29
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