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 puzzle
© さくら 
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 R指定:無し
 キーワード:すれ違い/せつなめ/野球
 あらすじ:当サイトのメイン小説『泥だらけのユニフォーム』のサイドストーリー。
▼一番下へ飛ぶ


街角で見掛けた彼は


不良になっていた















puzzle













カキーン



ボールは高く高く打ち上がって綺麗な弧を描いきライトスタンドに入った



【満塁サヨナラホームラン】






ああ、やっぱり。

俺は思った。



――ごめんな、夏川。お前のせいじゃない。




マウンドに立つ夏川を見つめる。



――全部俺が悪いんだ。








彼は空を見上げていた。


ただ空の一点を見つめ、立っていた。



立っているだけなのに、彼の存在感は凄い。



真っ黒な髪の毛が、桜の花弁と共に舞って、芸術品の様だった。



世界の全てが彼を味方する。






いつからだろう。


それに嫉妬を覚えたのは。





夏川が大好きだった。


小2で初めて会って、
バッテリーを組んで、
一緒に笑いあって、
泣きあって、
ここまできた。



でも、歯車はどこかでおかしくなった。





一緒の練習量。


いや、むしろ俺の方が多いくらいなのに



彼は先を行く。

俺の前を行く。





『夏川すげーよ、お前』

『お前がいれば安心だな』




チームメイト達の称賛は、いつも彼に向かう。



『新井、なにやってんだ。そこはファーストに投げるとこだろう。』


『今のは、新井がカバーするとこだ。』




俺にくるのは侮蔑だけ。

神様は俺に才能を与えてくれなかったらしい。





俺は、もう―。









――ツイテイケナイ










そっと立ち上がって駆け出した。






「ちょ…きみ、まだ挨拶が…」



主審の静止を求める声が聞こえたが、振り払って球場を出た。






夏川はどう思うだろう。
逃げ出した俺を。

軽蔑するだろうか。





でも、こうするしかなかった。



こうしなきゃ、


俺がつぶれてた。




'劣等感'



その3文字の波に。



苦しくって。


苦しくって。



投げ出した小5の春。








夏川の事なんて
これっぽっちも考えずに…。














街角に見掛けた夏川は

不良になっていた。





タバコをふかし、金髪を風になびかせ、ピアスが耳に光ってた。








やっと気付いた。


俺は、彼の歯車も狂わせたと。




完ぺきで緻密だった彼の歯車のネジを一本俺が抜いてしまったんだと。






後日、俺は会いに行くことにした。
彼がいる東陵高校に。

何を言うかなんて、まだ決めてないけど。


end
※※※※※※※

【後書き】

中途半端ー;
すみません(滝汗)

続きは本編にアップしていこうと思いますので、是非下記のサイトまで遊びにいらして下さい。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!







2009/02/02
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