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 ある愛のカタチ
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「…なぁ、今日は?」

辰哉の制服の裾を引っ張りながら、大きな背中に額を擦り付けて呟く。

「…離れろ。駄目だ。」

冷たい一撃が見事に突き刺さる。

「なんでだよ…」

少し苛立ちを込めて言うと、返って来たのは予想外に冷たい響きだった。

「俺達は男同士だ。だからだよ。」

そう言って背を見せたきり何も言わずに歩いて行く辰哉。
辰哉の言葉の刃に一瞬ビクリと肩が震え、次に怒りが沸いてきた。
俺は辰哉の背中に向けて大声で放つ。

「…ふざけんなよ!!そういうの関係ねぇだろ?!何気にしてんの?世間体?」

辰哉の歩みは止まったが決してこちらは振り向かない。

「じゃあお前は、ホモと罵られても俺と一緒にいたいのか?」

俺を睨み据える目には悔しさが溢れていて。
俺は辰哉がここ最近冷たかった理由をようやく理解した。

「馬鹿野郎!ホモっつわれたってゲイっつわれたって、変態って言われたって俺はお前が好きだって堂々と言えるよ!!関係ねぇ野郎の言葉なんて糞くらえだ!!」

本気だった。
愛してたから。
辰哉を失うくらいなら死んだ方がマシだった。
俺はどんなヤツに何を言われようと、辰哉を失う方が比べものにならないくらい辛い。

「…阿呆か」

下を向いた辰哉の頬は濡れていて、愛しい身体を思わず抱き締める。

「辰哉しかいねぇんだよ…側にいてよ」

掠れる声で呟く唇に、辰哉のそれが重ねられる。

「嘘だったら、許さねぇからな」

俺を抱き締めながら呟く辰哉に、当たり前だろと笑って言う。





「…なぁ、今夜は星が綺麗だから、一緒に見てこ」

辰哉の大きな手に自分の手を絡めると、辰哉は頷きながら握り返す。

馬鹿みたいだけど、すげぇ幸せで。

空を見上げながら、こんな日々が続けばいいなと心から思った。





end







2009/02/07
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