返信する

 Regret
© 胡蝶愛華 
作者のサイト 
 R指定:無し
 キーワード:年下攻め 記憶喪失
 あらすじ:とある恋人達。失ってしまった彼の記憶を取り戻しても良いのだろうか……?
▼一番下へ飛ぶ


 
「俺、あんたと会ったことあるよな?」

瑠輝さんが、ふと思い出したように呟いた。


「何を…今、一緒にいるじゃないですか。」
「そうじゃなくて、もっと前に。」


記憶が、戻ったのかと思った。



「瑠輝さ…」
「すげぇ曖昧なんだけど、あんたといるの…嫌じゃないんだよ。」
「…そうですか。」

それが確信ではないと分かった瞬間、俺は肩を落としていた。



後悔してばかりだ。

かけがえのない大切なものは、いつも失って初めてその尊さに気付く。


でも、それでは遅いんだ…。




「…もしかしたら、あるのかもしれませんね。」

ズキズキと痛む心。
俺は、彼を心配させないよう微笑んだ。


「いつか、思い出せたらいいな。」
「え…」

予想外の言葉に面食らっていると、瑠輝さんが当たり前のように言った。

「だって、あんたイイヤツじゃねーか。
今の俺は覚えていないけど、きっと前の俺も同じことを思ってたはずだからさ。」


嘘偽りの無い言葉が、胸に突き刺さる。


「多分…前の俺はあんたと出会えて、良かったんじゃないかな。」

俯いたまま、顔が上げられない。

じわりと熱くなる瞼。
このままでは、耐えられないかもしれない。

動揺を隠すように、俺は強く拳を握っていた。


「まぁ、あくまで俺の予想だけどな。そんなに偶然が重なるわけねぇし。」
「……」
「どうした?急に黙り込んで…」


本当に全てを思い出したら……。

瑠輝さんはどうなる?
俺はどうなる?


「…なんでもありません。
あ、そろそろ夕飯の用意します。」
「?あぁ。」


俺には、答えが出せなかった…。



…瑠輝さん。

もう一度、あなたに俺の声が届く日は来るでしょうか…?


もし、そのときは。

「今日は、何がいいですか?」

ずっと笑っていてくれますか……?





【END】







2009/02/19
▲ 始めに戻る

作者のサイト
編集

 B A C K 



[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]