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 意地悪
© 透流 
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「ちょっとジェラシー…」

目の前の相手を見上げながらしみじみと呟く。

「んだよ、藪から棒に…」

クスクス笑いながら顔をデスクに向たまま、書類に目を通す朧(オボロ)さんを横から見詰めていた。
さっきから朧サンの視線は書類が独り占め。
ちょっとは俺を見やがれっ!とか思っちゃったり。

家だからいつもは上げている髪は下ろしたまんま、カッチリスーツの姿とは違ってラフな格好。
見るからにプライベートだろ?
そんなら俺を構え!とか本気で思ってみたり。
折角休みが合ったのに、一緒にいるのに、話は聞いてくれても俺を見てくれないならツマらねぇ。
ちょっと不貞腐れながらジッと書類を見詰める朧サンの背中から抱き付き、そのまま掌で目を隠す。

「虎兎(コト)くん……見えません」

「知ってる。わざとだし」

当たり前だ、わざと目隠ししてんだから見せる訳ねぇ。

「ですよねぇー…って、虎兎?」

尚も目隠ししたまま、無言で相手の髪に頬を寄せる。
こん位の意地悪……しても良いよな?
でも…意地悪してるのに、朧サンの声は楽しげで、更に笑ってんしっ!

「構って!」

耐え切れずついに口に出して催促する。
あぁ、情け無い…。
構えって言ってまで相手に構って貰いたい位俺は朧サンが好きで、でも朧サンは俺より仕事が好きで…。
あぁもう…情け無さ過ぎて二十歳半ばの男が泣きそうなんて、更に情け無さMAXだ。
すると目を隠す俺の手を掴んで引き剥がすと顔を後ろの俺に向けニッコリ笑う。
そして片手を頬に添え軽く口付けた。



俺の横から暇そうな虎兎が『構って』オーラ全開で見詰めて来る。
素直だから直ぐに表情に出るから分かりやすい。
書類に視線落としながらも俺はそんな虎兎をジッと見ていた。
………そろそろかな?
あと少しで、俺に構えと言って来るだろう。
そんな事を考える俺の背中にふと感じる相手の体温、いきなり閉ざされた視界。
あぁ、きたな。
相手に分からない様に小さく笑う。

「構って!」

…何でこうも素直に俺の思った通りの行動をしてくれるのか。
目隠しする相手の手を掴んで引き剥がし、ゆっくり相手を振り返る。
ニッコリ笑い掛け頬に手を添えながら唇を触れ合わさせた。

さっきから全く書類なんか見て無いのは内緒。
俺は虎兎の拗ねた顔がみたいだけ。
後は………構ってっておねだりされたいんだ。


     -end-










2009/04/26
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