返信する

 永久-とわ-の支配者
© 透流 
作者のサイト 
 R指定:---
 キーワード:忍ぶ恋・大人の恋・曖昧
  ▼一番下へ飛ぶ




―――会いたい…っ


何年振りかに掛かって来た一本の電話。

電話口から聞えて来たのは、切羽詰まった様な震える声。


出る前にディスプレーで名前は確認済み。

高城 水都(タカギ ミナト)、小学校からの幼馴染みだ。
小1から連絡を取らない期間も含め、かれこれ二十年。

実はこの手の電話も初めてでは無い。

彼氏と喧嘩でもしたんだろう。



ゲイであると告白されたのは高校の頃。
それ以来俺が水都の良き理解者で相談相手だった。

「……今度は何だ…」

空白の時間なんかまるで無かったかの様に始まる会話。

耳に聞える嗚咽。

小さく息を吐き出す。

「……水都?」

幾分和らげた声音で名前を呼び掛けた。

『相楽(サガラ)…っ、俺……聖(コウキ)と…………別れた…』

絞り出す様な声。

十年付き合っていた彼氏との決別。

「……………今から行く。待ってろ…」

ソレだけを言い残し、電話を切った。

「出掛けるの?」

裸のままベッドに横たわる男。
名前と電話番号位しか知らない相手。
電話を切った俺に向かい不貞腐れた様に呟いた。
そりゃ当たり前だろう。

セックスの最中に出て行かれちゃ。

相手に背を向けたまま手早く服を着込んで行く。

今、この瞬間も水都が一人で泣いて居る。

「悪いね」

テーブルの上から眼鏡を取り上げ掛けると顔だけ相手に向け謝る。

「あぁ、本命…、ね?」

その言葉に曖昧な笑みを浮かべると自分の荷物を手に持って部屋を後にした。




俺の嗜好を水都は知らない。
水都よりもずっと前から自分の性癖に気付いていた。
当たり前だ、小さい頃から水都しか目に入らなかったのだから。


何よりも水都が優先されるのも、昔から変わらない。

これからも変わる事は無い。

俺は、何処に居ても駆け付けてやる。
水都が俺を必要とするまで。


煙草に火を点けた。
車内に広がる白い紫煙。
薄暗い車内を照らす小さな灯。

ゆっくりと煙草を吸い込んで、車を発進させた。




       -end-










2009/08/15
▲ 始めに戻る

作者のサイト
編集

 B A C K 



[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]