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 隣のお兄ちゃん
© 悸戸 
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 キーワード:ツンデレ ショタ
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「何持ってるの?」
「…みたい?」

「うん、見たいな」
「どうしても?」

「ゆーくんお願い」


「いいよ」

 「お願いされたらしょうがないからね」そう言いながらゆっくり指を開く。深緑のソレがまた光った。



「あ、ケータイだ」

「うん!いいでしょー買ってもらったんだ!」
「そうなんだ。うん、すごく格好良いね。」

 兄ちゃんは俺と携帯を交互にみて笑った。「小学生が携帯を持つなんて早い」って父さんは言ってたけど、兄ちゃんはどう思ってるのかな。

「変じゃない?」
「ん、なにが?」

 兄ちゃんは優しく笑った。そういうところも本物のお兄ちゃんみたいですきだ。

「ねぇ、電話かけて」


「え え?今、会ってるのに?」
「うん!最初に電話するの、兄ちゃんがいいの」
「よくわかんないけど、」
「はやく!はやく!番号はね、080の…」

「わ、はいはい」


 プルルル、プルルル。


「はーい、もしもし」

『もしもしゆーくん?俺だけど、聞こえてる?』

「!」

『ゆーくん?』
「何でもない!」

 びっくりした。電話越しの兄ちゃんの声なんだか変。

 ドキドキする。


「なんか面白いね」
「え?」

「こんなに近いのに、」

 兄ちゃんは、そっと俺の左手を握る。

『ゆーくんがもっと近くにいるみたいだ』
「!」
『ゆーくんも思わない?』
「お、思わない!」

 ブチ。ツーツー。

「そっかぁ」

 兄ちゃんはしょんぼりしたみたいだけど、また優しく笑ってみせた。


「…。」

 うそ。うそうそうそ。大貴兄ちゃんが俺の耳元で喋ってるみたいでなんかなんか。

 なんなんだよ、この気持ち。

 もやもやするし、こわい。俺、病気なのかな。

「ゆーくん?」

「どうしたの?」
「なんでもない!」

 俺は兄ちゃんに背を向けてうずくまるしかなかった。

END







2010/01/26
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