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 アルバム
© 悸戸 
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 R指定:無し
 キーワード:ほのぼの 歳のさ
 あらすじ:お家でアルバムをみるだけの話
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「かっ、かっ、」



「かわいいー!」


 アルバムを広げながら、写真を見ては微笑み、見ては微笑みを繰り返していた。今日は彼の家に遊びに来たのだが、彼は彼と良く似た母親と喧嘩したらしく、罰として大掃除をさせられている。

 僕はそれを見るのに飽きて、アルバムを引っ張り出して来た訳だ。

「ここらへんは面影あるね」

 写真と彼を並べた。彼はつまらなそうに横を向いたままだ。

「そんな生まれたての写真と比較されたくないんだけど」

「えーかわいいのに」

 パラパラとアルバムを巡る。たまに幼い頃の自分も写っていたが彼に見つからないようにページを巡った。この寝顔、すごく可愛い。

「もう、そんな昔の写真なんか恥ずかしいからやめて」




「そんな昔じゃないよ?」


 だって彼はまだ僕の半分も生きてはいない。彼がいくら饒舌になっても、こればかりは負ける気がしない。

「うるさいなー」

 あ、諦めた。


「昴くん」
「なにさ」

 アルバムを閉じて、じっと見つめた。幼くも凛々しい横顔がシフトしていく。あ、目が合った。

「今こんなにカッコイイってことはこれからもっとカッコ良くなるんだろうね」

 それはすごく楽しみだ。その時の流れは僕が老いることとイコールなはずなのに。



「……もう、それは反則だって。」

 彼はそう言って僕の頭に顔を寄せて、軽く唇を押し当てた。

 未来の彼を思い浮かべながら、このままいっそ、時が止まればいいと思った。僕はそんな馬鹿げた矛盾にすら気が付かなかった。

END







2010/03/13
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