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天使と悪魔
R指定:無し
天使と悪魔のお仕事
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「う〜ん。あの子可愛いよね〜。」
『止めろ。お前は魂を持って行くのだけが仕事だろ。』
「そうなんだけどね〜。僕は美しい子が大好きなんだ。」
『お前なー。』
「もちろん、君の事も好きだよ。」
『あのなー』
どこまで本気なのか、頭が痛い。
俺は悪魔。この天使と組まされて約一ヶ月だ。
死に立ち会って魂の重さを量り、天国か地獄に連れて行くのが俺達の仕事なのに、こいつったら。
「あの赤い服の子もいいなー。ちょっとぐらいつまみ食いしても、いいよね。」
『ダメに決まってるだろ。』
「けちだなー。でも、君の愛を感じるよ。嫉妬してるんだろ。」
誤解も甚だしい。
『とにかく、仕事をしろ!後10分だ。』
「ハニーが言うなら仕方がないね。仕事しようか。」
『あそこのマンションだ』
あるマンションの一室に入っていく。
−−−−−−−−−−−−
キャサリン八歳生れつき心臓が悪く、心臓発作で亡くなる。
−−−−−−−−−−−−
ベッドに横たわる幼い少女。
「この子も可愛いね。」
『一体何歳までが守備範囲なんだ?』
「幼児から高齢者まで美しいものであれば大丈夫。」
立派な変態だ。
すぐにキャサリンが発作で苦しみ出した。隣の部屋の両親は寝ていて気がついていない。
助けたい!
死なないで!
ぎゅっ手を出さないように、しっかり手を握っておく。俺達は人の死に干渉できない。
「ハニー。」
『ん?』
「おいで。死んだら教えてあげるから。」
『ううん。見てる。』
これは仕事。
俺の仕事。
逃げることはできない。
後ろから抱き込まれる。優しい温もりが俺を包む。
亡くなるなら、できるだけ苦しまずに亡くなって欲しい。
……もう動かない。
魂が出てきたので、特別な籠に入れる。軽い。汚れを知らない軽く白い魂は天界へ。悪いことをして、重く黒くなった魂は冥界へと連れていく。
「ハニー、今回は俺の仕事だね。じゃあ、キャサリン天国へ連れてってあげるよ。」
助けてあげられなくてごめんね。
『早く生まれ変われるといいね。』
「ハニーは悪魔なのに優しいね。」
ちゅっ
『やめろー』
こいつ、キスしやがった。
「すぐに帰ってくるから、いい子で待ってて。」
恥ずかしい奴。
「一緒に行く?」
『行けるわけないだろ。』
天使と悪魔は人間界だけでしか一緒にいられない。愛し合うのも禁止されている。交わればあいつが堕天使になる。
堕天使になれば一緒にいられるが…。
変態だけど優しい天使。あいつを堕天使にはできない。
『次の仕事があるんだから、早く帰ってこいよ。』
天使と浮気すんなよ。
「好きだよ。」
ああ分かってるよ。
『さっさと行ってこい。』
あいつが飛び立った後に残った白い羽根に、そっと口づけた。
End
2010/04/03
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