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 探さないで
© 深鈴 
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 R指定:無し
 キーワード:屋上、告白、一生懸命
 あらすじ:長年クラスメートだけだった奴だけど、好きになっていた相手にいきなり告白され…
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「くそ、何処にいんだよ、あの馬鹿は」

俺は、勢いよく俺の前から姿を消した親友を捜し回る。
汗だくになるのなんか大嫌いな俺が、今はアイツの為だけに走っていた。

何で、こんな事になっているのかと、数時間前の事を思い出す。

======

「好きだよ」

夕陽が綺麗な屋上での、いきなりの告白に唖然とした。

フェンスに身を任せながら、気を抜いて聞いていた告白。

親友だと思われていると思っていた奴から、両想いへの誘いに、俺は頭が真っ白になった。

「…………はい?」

間抜けすぎる。
お前はアホかとツッコミたくなる答え方だ。

「なんて、ね。ゴメン、忘れて」

普段から明るい奴のカラ元気に、違和感を感じる。

頭がついていかない中、俺は必死に言葉を紡ごうとするが、声に出ない。

俺も好き

それだけは言えたはずなのに、真っ白になりすぎて浮かばなかった。

告白の嬉しさと戸惑いが混ざって、何も言えない。

そんな俺の中での葛藤を知らずに

「じゃあ、ね」

と、いきなり走って逃げ出しだアイツ。

直ぐに追い掛けたけど、陸上部の足をナメてた。

帰宅部の俺で追い付くわけがなかった。

====

「……疲れた」

もう明日で良いかなぁとか、思う度…別れ際に見せた涙顔がちらついた。
くそ、こんなの俺らしくねーのに。
アイツみたいなのなら、たくさんいんのに。
アイツが欲しい。

「頑張るか…」

アイツにこの溢れ出す気持ちを伝える為に。

《END》







2010/05/27
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