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 『999ピース』
© *緒神 
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   マンネリ気味のアイツと俺。
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パズルって、ズルい。


いつもアイツの興味を独り占めして、いつだって俺を孤独にするんだ。



「なぁ。」
「………ん?」


目の前のパズルから視線を外す事なく、ゆうに2拍は置いてからの返事に唇を尖らせた。


「何でもない!」
「…なに怒ってるんだよ?」


…ほら、やっぱり。
それでもこっちに視線すら寄越さないアイツは楽しそうに鼻歌まで歌っちゃって…。


…こういうの、マンネリっていうんだろうな。


最近はえっちばかりかキスですらご無沙汰で。


…俺の事、飽きちゃった?
いや、もしかしたら付き合ってるつもりなのは俺だけだったのかも。


嫌な想像に身震いしてそのままベッドに顔をうずめた。



アイツの、匂いがする。


体臭と香水が混じった…、あれ?
体臭と香水だけ?煙草は?


「なぁ…」
「あ?」

「煙草は?」
「……」

そういえば最近吸ってるのを見てない。


「んー…、止めた。」


手を休める事なく、驚いた俺をチラッとも見ないで


もしかして…、いやでも…

「俺が、」

嫌いだって言ったから?



口に出そうとして止めた。
こういうのはわざわざ確認なんかしないで、自分の都合のいい方に考えておくに限る。



「あれ?」


突然立ち上がり、周りを探し出したアイツが、

「1ピース足りない。」

どうやらやっと完成までこぎ着けたパズルのピースが足りないらしい。



…ざまぁみろ。
俺を放っておいた罰だ。


「なあ、一緒に探して?」


手当たり次第にひっくり返しながら探すアイツに

「バカやろう。何事も完璧にすればイイってもんじゃないだろ。」


例えば煙草を止めた理由を聞くとか。
俺達の行く末、とか?



「は?」

と訳の分からない表情を浮かべるアイツは、
「パズルはダメだろ。完全じゃなきゃ。」

それもそうかと少し笑った。


「…じゃあさ。」
1つ提案がある。


「探してやるから、さ。」


やっと俺の方を見たアイツが、「仕方ないなぁ」と口では言いながら近付いてきた。


…さて、どのタイミングで出せば、許してくれる?

探しものをポケットの中で転がしてから、アイツの首に腕を回した。


とりあえず、キスのあと。
それだけは確かだ。



end。


※サイトの方は18禁となっています。







2010/05/29
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