返信する

 バカップル認定。
© 神の袖隠れ、ヒメゴト。 
作者のサイト 
 R指定:無し
 キーワード:幼なじみ
  ▼一番下へ飛ぶ


自室よりも居心地の良い、幼なじみの部屋のベッドの上でゴロゴロしながら…




オレは今日仕入れたばかりの話題を口にする。













「なぁ…、今日余所のガッコの娘に告られただろ?」


「…何で知ってんだよ?」





オレの幼なじみは女の子を弄んでも笑って許されてしまいそうな位イケメンなのに…




この手の話題が一番嫌いだという、なんとも罪深き男。



ていうか、残念な男。











案の定、不機嫌そうに眉間に皺を寄せて。





ベッドにうつ伏せ状態のオレに、思い切りダイブしてきやがった。













「ちょっ――…!?」






余りの衝撃に一瞬あの世とこんにちはしちまったじゃねーか!!











「ぐっ…あんな派手に正門で告られてたら、誰だって解んだろ!!」






ジタバタ抵抗してみるものの…、コイツは顔だけでなくガタイもモデル並みに良いもんだから。





チビっ子のオレなんかにかなう筈も無く簡単にねじ伏せられてしまう。










一向に退いてくれる気配も無いので、オレは諦めて話を続けた。










「…付き合わないの?」




オレがそう尋ねるとコイツは決まって、







「好きでもない女とは付き合いたくない。」







…と、冷ややかに返す幼なじみ。





滅茶苦茶モテる癖に…イヤミな奴だな…。









10年以上の腐れ縁のオレでさえ、コイツが誰かとお付き合いしてるなんて事は一度も見たことがなく。




それは、幼なじみのオレにも理解できないコイツの意外な一面で…。





ずっと、不思議に思ってた事なんだけど…。














「お前だって恋人作んないじゃん、何で?」






一際低い声で、耳元に直接問いかけてくる幼なじみ。




体重をかけて、ピッタリと覆い被さってくるものだから…



なんだか身体の内側がザワザワして、落ち着かない。












「おっオレはフツーだしっ…。」





そりゃ、オレだって自慢じゃないけど告白された経験位あるんだ…。





けど、お前みたいな怪物と一緒くたにされちまったら、スゲェ悲しくなってくるだろが…。










「…って、今はお前の話してんだろ!?そうやってすぐはぐらかしやがって…!」





何かだか見えない壁が有るみたいでイライラする。






ずっと、家族以上に共に過ごしてきたのに、オレばかりが置いてかれてくみたいでさ…。











シュンっと項垂れてヘコんでいたら。




徐に幼なじみが口を開いた。












「…俺好きな奴いるから。」


「え――…!?」






思わずガバッと頭を上げる。
衝撃の告白に頭はパニック寸前だ。











「マジ、かよ…?」





ん、と短く肯定する幼なじみ。





かなりショック…。
なんだソレ。だったら何で相談してくんないかな〜?




オレってお前の“心の友”なんじゃねぇのかよ…?










なんだか、いろんな意味ですげー落ち込んできたけど……、それより好奇心が勝って。









「…いつからだよ?」






ぶっきらぼうに問い質す。


すると、幼なじみは悩むような仕草をしていたが…





観念したのか、漸く話し出した。











「うーん、幼稚園の時には自覚してたかな…。」

「え…ウソ!?オレの知ってるコ?」


「知ってるって言うか、さ……。」





テンション上げて誰だろうと考えてみたが、これといった娘が思い浮かばくて。



オレは下敷きにされてるのも忘れ、幼なじみにヒントを強請った。









するとまた、暫く迷っていた幼なじみだったが。



観念したのか、それじゃぁ、と口を開いた。





何だかんだ、コイツはオレに甘いんだよね。













「ヒントは…幼稚園から一緒で、高校も同じ奴だな…。」


「へぇ、意外と一途だなぁ〜お前…。」









ん…?







そこで、オレの思考はピシリと固まる。









だって、有り得ないだろ?






何故ならオレ達が通っている高校は――…












「…―って男子校じゃねーか!!」





からかわれたのかと、頭に血が登ったオレはジタバタとまた暴れ出したのだが。




その行動もすぐ新たな事実に気付いてしまい、





完全にフリーズしてしまった。












コイツと幼稚園から高校までずっと一緒な奴なんて、他には知らない。









オレ、以外には。













「気付いてくれた?」





抱き締めるように、オレに身体を預け、耳元で囁く声は聞いたこと無いくらい色気があって。





接触した箇所から響く、どちらとも解らない心音に、思考が追いつかなくなる。











「お、れ…?」


「ん、せーかい。」





漸く絞り出したオレの主語だけの台詞に、いつもとかわらぬ口調で返す幼なじみ。




そのまま、ごく自然にこめかみに優しいキスを落とされた。







勿論、オレに抵抗する余裕など無く。






仰向けにされ、真顔でじっと見つめられたら。





もうどうしていいのか解らなくなってしまった。











「返事、は?」




整った顔で、極上の笑顔を見せる幼なじみ。






恋人に向けるかのような甘ったるい視線は、何故か違和感が無くって。









知ってるんだ。
いつもコイツはこういう瞳でオレを見てたから…。








身体中を駆け巡る熱が、近づいて来る顔に全部集まってきて…







吐息を感じる位の距離で、オレの答えを待っているから。









オレはギュッと目を閉じてやる。








そうすればアイツはふわりとはにかんで。











「愛してる…。」







溶けそうなほど甘ったるい声で。





誓いの言葉とキスを





オレに捧げるんだ――…




end.







2010/07/26
▲ 始めに戻る

作者のサイト
編集

 B A C K 



[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]