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 超々短編・怜くんはこうして読モになりました!
© 桂恵 
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声をかけられたとき、新山怜は本の入った袋を抱えていた。

「女子高生向けの雑誌なんだけど、今度、読モコンテストを開催しようとしてて・・君、どうかな? ちょっとやってみない?」

毒蜘蛛?

そう聞き間違えたまま、振りかえる。

声をかけてきた若い女の子と、ちょっと小太りのカメラを抱えた男が、

「可愛い顔してるねえ・・」

と、同時にため息をついた。

「ちょっと撮らせて」

パチリ!

怜は、整った顔をわずかに顰めた。

駅前の賑やかな通りだ。行きかう人がみんな、こっちに視線を送ってくる。

遠くには、二人組の警官の姿も見える。

怜が抱えている本は普通の本ではなかった。かなりマニアックな・・というより危険な爆発物関係の本だ。他人に注目されることなど、絶対に避けたい。

「すぐ、終わるから・・ちょっとニコっとしてくれたら、それで終わり・・ね?」

二人はしつこい。



警官がゆっくりとこっちに向かってくるのを、眼の端でとらえながら、

「笑えばいいんですね」

怜は笑った。

小太りの男が数秒ぼんやりとし、

「あ・・ゴメン、見とれちゃったよ」

急いでカメラを構える。

パチリ・・。

もう一度、パチリ・・。

「じゃあ、電話番号だけ教えてくれるかな、掲載するときは電話するからね・・君なら、絶対に掲載だよ・・人気読モ、まちがいなし!」

番号を教え、怜は急いでその場から離れながら呟いた。

「毒蜘蛛、まちがいなし?」

さくらんぼのような唇で、不思議そうに・・。


お終い(怜くんは「爆愛」の中で溺愛されています)







2010/11/22
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