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 相対性理論、もしくは悲しい程に虚しい光景
© トマ 
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 R指定:無し
 キーワード:年の差
 あらすじ:短編すぎな短編だす
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「俺のこと……好き?」

野暮ったい。
分かってても聞いてる自分。

帰ってくる言葉は、いつもと同じなのに。
そう思いながらも隣で寝そべる浅黒い37歳の中年男に問い掛ける17歳の自分。
情事、…というには獣地味た行為の後。

汗まみれのシーツ。
青臭い部屋。
隣で寝そべる男がふかす煙草の煙。

色んな匂いが雑ざった空間で色んな想いが混ざった問い掛けをする。


初めて聞いた時は殴られた。
次に聞いた時は睨まれた。
それからは何度聞いても煙草をくわえて。
答の代わりに煙を吐き出すだけ。

俺より年上なヤクザさんは曖昧に煙草を蒸す。


どうせ


朝起きた時にあんたは居なくて。
俺はシャワーで後始末。
シーツを洗濯機にほうり込み。
窓を開け放って、部屋中に消臭剤を撒き散らす。

あんたの匂いも。

曖昧な煙草の煙も。

「俺の事好き」て聞いた時に吐き出した混ざり合った空気も。

全部リセット。


また何週間か会わなくて。
ある日突然こういう夜を過ごす。


そして、またリセット。

リセット。

リセット。

リセット。


そしていつの間にか、


「答えろよ、俺の事好きなのかって聞いてんだよ」


リセット不能。

宙を舞う煙草。
曖昧な煙は空間に散布して。



つくづく、リセット不能。







2007/02/07
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