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 リア充なう。
© 透流 
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「「今なっちゃんと遊んでる」」

二重音声だ、おい。
テーブルに頬杖をつきながら手を使わずにポリポリとポッキーをかじって減らしてく。
目の前の二人はお互い違う方向を見て恋人から掛かって来た電話に対応中、なう。

なう、なういんぐ、現在進行形。

こちとら慣れたもんだ。
自他共に認める香一(コウイチ)と八雲(ヤクモ)の間男だからな。
しかも二人の恋人容認の。
どういう事かと言えば、無害、超案パイ、問題無し。

いや、別に拗ねてねーです。
ただ羨ましいだけ。

ゴンっと鈍い音が響く。
テーブルにデコをぶつけた音。
恋人が野郎だとか気にしないし。
二人が幸せなら良いの。
何だかんだ言って、俺と変わらず遊んでくれるし。

ただね、時々寂しくなるのは確かな訳で。

「なっちゃーん、どったの」

電話が終わったらしい八雲が俺の頭を撫でる。

「俺の運命の相手は何処で売ってますか?」

「イオンじゃね?」

「マジか。買いに行かなきゃ売り切れる」

同じく電話が終わったらしい香一が真顔で宣(ノタマ)う。
よし、イオンにゴー。

「運命の相手が売り切れたらどうしようもねぇな」

ふと耳に届く八雲の的確なツッコミに俺は行く気満々だった腰をまた落ち着ける。

売って無い事くらい分かってるっつーの!

自分のモテ無さ加減に感服、脱帽、完敗のちの乾杯。

「ふへへへ…」

不気味に響く俺の笑い声に香一がジト目で俺を見るとポツリ一言呟いた。

「なっちゃん、キモい…」

「ちょっ、いくら本当の事だからって香一言い過ぎっしょ」

八雲のフォローだったらしいフォローは香一によってついた傷を爽やかに抉った。

「くっそ、リア充が余裕見せやがって!」

ガタンと勢い良く立ち上がる俺を二人は見上げニッコリ笑う。




「「大好きだよ、なっちゃん」」

また二重音声だ、こんにゃろ!

「知ってる!俺も大好きだ、こんちくしょー!」





何だかんだ言って、幸せなんだけどね俺。










2012/03/30
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