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 運命っぽいもの
© とらねこ 
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 R指定:無し
   あらすじ:アニメ好きの遥佳は失恋したばかりで・・・。
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失恋してから遥佳はますます二次元に溺れるようになった。
元々、アニメしか愛していなかった。気まぐれにキャラに似ているからと彼氏をつくったが、呆気なく振られた。
毎度デートでグッズショップに行き、DVDを見て、コスプレイベントに半ば強制参加させていたのだから、彼も我慢の限界だったのだろう。
「陸」
名前に惹かれ、つい見たテレビに彼の顔が映っているはずもなく。
海亀が陸地で子育てをするという内容の自然番組をやっていた。
名前を聞くだけで泣き喚きたくなる。
本気で愛してた、って。
言っても信じてくれないんだろうな。
彼が嫌がるなら、アニメを捨てたってよかった。遥佳は優しさに甘えすぎたのだ。
彼に似ているアニメキャラを見たくなくて、一作品のグッズを丸ごと売ることにした。
オークションにかけながら遥佳はふと思う。買ってくれた人と仲良くなれたらいいな、と。


テレビで海亀の番組をやっていたので、陸はDVDをセットする。恋人と別れたばかりで暇すぎた。声優の臭い台詞が流れてくる。
「君のためなら死ねる。遥かな国で革命を」
反射でスイッチを切ってしまった。元彼の名前ごときで動揺するなんて重症だろう。
度を越したアニメオタクなのは構わなかった。コスプレイベントに連行されたのも楽しかった。
が、引き返せない奇妙な恐怖に苛まれ、距離を置いているうちに別れに至った。
気付くと、元彼が好きだったアニメばかり見ている始末。並んで見た記憶を探してしまう。
借りたのは途中まで。癪だが続巻が気になってしょうがないので、オークションで品を買うことにした。


ハンドルネームで再会する偶然を、安っぽく運命と呼んでみた。







2012/03/30
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