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 あいしてる
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 キーワード:幼なじみ
 あらすじ:楓の彼氏である誠介は、兄の茜が好きだった。想いを疑う楓は・・・。
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「好きって言わない理由?愛してるからだ」
唄を堂々とパクる誠介には呆れて物が言えない。
「浮気してるからって素直に言えば」
楓は冷静にツッこんでしまった。

誠介は、楓の双子の兄、茜を偏愛していた。
幼い頃から犯罪ぎりぎりまで追いかけ、百一回以上のプロポーズをし、迷惑がられても愛情の裏返しだと信じて疑わない。
男同士という常識は、誠介の暑苦しい愛の前では霞んでしまうようだ。

何を血迷ったか、楓はそんな誠介に恋に落ちた。告白した結果、おそらく兄とのわずかな共通項を見出だしたのだろう、付き合うことになった。

が、誠介のひたむきな想いは変わらないらしく、バレンタインやクリスマスといったイベント事には、兄にプレゼントを贈っている。楓にも一応くれるのが救いだ。
換金できるからと受け取る兄もどうかと思うが。

誕生日にも兄に贈り物をしていたのを見て、楓はたまらず聞いた。
「本気で好き?ちっとも言ってくれないよね」
誠介の返事は愛しているからだとか。嘘臭いにも程がある。

「なんでこんな薄情な男が好きなんだろ?」

物好きな自分を呪いつつ、楓は兄とお揃いの腕輪をそっとなぞる。
今は引き分けでもいいからさ。そのうち僕を好きになってよ。
せめて兄を想った年数よりは、長く誠介の側にいたいなと思いながら。







2012/04/23
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