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 別つ時は絆
© 透流 
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大学バスケの強い所と企業のバスケチームからの誘い…悩むに決まってんだろ。
机に頬杖をつきながら思いっきりしかめっ面してるであろう俺がいる。

俺としたらバスケが出来るなら何処だって良いんだけど、な。

中々出ない答えを、急かす訳でも無く相変わらずのんびりと構える潤をチラッと盗み見る。
すっきりさっぱりな顔しやがって…なんて八つ当たり乙、だ。

「決まんねー、もう潤が決めてー」

「無理。要の人生を俺が決める訳にいかないでしょ」

見てる雑誌から顔を上げる事無く、即答で却下された。
マジつれねーダチですこと。

ま、本気で言ってないって知ってるからだな。

「潤と同じトコにしよっかなー」

俺の呟きに漸く顔を上げると呆れた様な表情を向けて来た。

「無理だね。俺、要より頭良いし。一般でなんか何浪しても、無 理」

にっこり笑いながら、尚且つ最後にアクセントまで付けて俺の軽口を一蹴しやがった。

「んなの分かってるっつーの。つかさ………お前と進路分かれるの………初めてだな…」

当たり前だけど、当たり前じゃない。
小さい頃からいつも一緒に学校生活を送っていた俺達が、初めて分かれる。
学校の何処かに存在していた相手が居なくなる。

ぶっちゃけ、今の時点で想像が出来ねーの。

「初めてだねぇ。俺がいなくてもちゃんと良い子にしてるんだよ?」

ケラケラと笑いながら俺に向けていた視線を窓の外に向ける潤を何気無く見ていた。

あぁ、見られたくねーんだな…。

寂しいのは俺だけじゃない。
俺と同じ様に潤もまた、寂しいって思ってくれてるんだと思ったら…何か安心した。

幼馴染みは、離れても変わらず同じスタンス。

それが俺には心地よい。
こいつは何があっても俺から離れて行かねー、そんな感覚。

「今から考えて泣いてんじゃねーよ」

腕を伸ばして頭を撫でる。
無言で鼻を啜る音が聞こえて、俺は小さく笑った。







もうすぐ、別れの季節が来る。











2012/04/27
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