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 愛してるっていえない。
© 儚史 信 
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 R指定:有り
 キーワード:兄弟
 あらすじ:二人暮らしの兄弟。兄を慕う弟の禁断の想いは、結果兄を苦しめることに…。男前兄×ヤンデレ弟/切ない/溺愛
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――ずっと、思ってた。

「あの…御堂くん。その…あたし、あなたが…好き、なの」

――こんな風に、気持ちを伝えられたら。

「……ありがとう。それで君はどうしたいんだ?」

「え……」

――だからボクはいつも、こんな風に彼女らを翻弄する。

「あるんだろ? 付き合って欲しい、とかさ」

――これは八つ当たりだ。

「え、でも…あの…つ、付き合って、くれるの?」

――か弱い仔猫のようにおどけて見せながら、その中でどんな思いを抱いているのか?

「…じゃあ」

――いまのボクには理解できない。

「いますぐ制服を脱いで裸になってくれたら…考えてもいいよ」

「な……なによそれ! 私のこと馬鹿にしてるの? ひどい…」

――本当にひどい話だ。

「別に馬鹿になんて…」

「本気ならなおさらよ!」

――どうして本気で誰かを望むことがひどいのかわからない。

「もういいわ。忘れて!」

――そんな簡単に忘れられる思いを誰かに抱けたなら…ボクはこんなに苦しまずにすんだのか。

「…ボクならできるのに」

――彼女の背中に、愛した兄の背中がダブる。

「雪夜が望んでくれたらなんだって…」

――届くことのない、禁じられた想い。

「だから、いかないで…傍にいてよ…………雪夜」

――その言葉だけは…云えない。










2012/06/12
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「見えない臓器の名前は」