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 猫
© 桜良 
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 キーワード:猫、年下の男
 あらすじ:猫と戯れる蓮路とちょっと災難な拓海。
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蓮路がチビを拾った時、チビはまだ目も開いていない小さな小さな生まれたばかりの猫だった。

チビが無理やり親猫から離され捨てられたのは、数匹ダンボールに入れられていた事からわかる。

か弱い声で鳴いていた。
それを見て蓮路は動物病院へ子猫達を連れて行った。その時点で蓮路は猫達を飼うつもりだった。


計5匹の猫。
すぐに親猫から離された事もあり免疫力もなく、1匹1匹と死んでいった。

残ったのはオスとメスの1匹ずつ。
メス猫を手元に置き、オス猫は貰われて行った。



「チビ、腹減ったろ。飯食おうか。拓海はバイトで遅くなるしな」
まるで蓮路の言葉がわかるかのようにナーと鳴いた。

「鮪、買ったから一緒に食おうな。昨日まで海で泳いでいた鮪だってさ。新鮮だからお前にも食わせたい」
チビの喉を撫でて立ち上がる。


鮪を肴に蓮路は焼酎を飲む。

カリカリと缶詰めの中身を食べ終えたチビが寄ってくる。

「鮪だろ。ほら」
チビの為に小さく切られた鮪を一切れチビの鼻先にもっていく。

「旨いか?」
美味しそうに食べるチビを見て蓮路は頬を綻ばせる。

「まだあるからな」
チビの側に鮪の入った皿を置く。いいものを食べているせいかチビは毛艶がいい。

カリカリと缶詰めを基本に、蓮路が手作りのものを食べさせている。そのせいか、チビの真っ白な毛並みはビロードのように輝いている。

蓮路が拾った時、チビが一番体重が軽かった。貧弱に見えた。
「それがこんな美人になるんだもんな」

もう少しちゃんと名前を考えてやれば良かったと思う。
チビだったチビ。だから安易にそう呼んでいた。気付けばチビは自分の名前をチビだと認識していた。

チビを拾ってそろそろ半年になる。

「チビ」
名を呼べばチビは顔を上げ、ナーと返事をした。


「何、チビと見つめ合ってるの」
いつの間にか拓海が帰って来ていた。

「チビと語り合ってたんだ」
「猫と?」
「チビと」
そう言って拓海を見ると思っていたよりも近くにいた。

「ただいま」
唇に拓海のキスが重なる。ほうっておけばエスカレートしかねない拓海を引き剥がし、風呂に入ってこいと蹴り上げた。

「いっ、たぁ! チビ、痛いっ」
蹴ったと同時に拓海がよけようとした際チビのしっぽを踏み、チビに反撃とばかりに爪でひっかかれていた。

思わず笑ってしまい、拓海はふてくされた顔で脱衣所に向かっていった。風呂から上がってきた拓海をどうフォローするかなと思いつつチビを抱き上げた。







2013/11/11
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