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 手繋ぎ
© 獅子文士緒 
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※BLです

「真冬、手」
 下校途中、美鶴が突然そんなことを言って俺に手を出してきた。コイツが言うことはいつも突飛すぎて、俺はついていけない。
 だが、何となく分かった。
 だから
「嫌だ」
 俺は美鶴の方を見ずにそう答えて、いつものように美鶴の家に向かって歩く。当然、満はご立腹になっただろう。だから見ないし、見たらたぶん・・・
「真冬」
「嫌だっつってんだろ」
「真冬」
「・・・・・・」
 いや、見なくても結果は同じだったか。
 俺は空いている方の手を、どうしたものかとソワソワさせて・・・周りをきちんと確認してから、やはり美鶴の方は見ないで手を出す。
「・・・ん」
 さっさとしろ、と言うように手を出すが・・・手に、冷たいものが当たっただけだった。
(ん?)
 明らかに手ではない形のものに俺は内心不思議に思い、自分の手を見る。そこに握られていたのは・・・携帯?
「昼休み、屋上に忘れてただろ」
「・・・ッ!」
 しまった・・・そう思った時には遅かった。
 美鶴は満足そうに笑っていて、とにかくニヤニヤしている。俺は真っ赤になりながらも携帯を自分の制服のポケットに突っ込んで、美鶴から視線を外した。
「おい真冬・・・何されると思ったんだ?」
「てめぇ・・・!」
 わざとだ。美鶴はわざと、俺がこういう反応をすると分かっていてこんなことをしたに違いない。
「こっち見んな!」
「真冬」
「何だよ?!」
 突然、手があたたかいものに包まれた。
(これ・・・)
 手を見ると、そこにはもう一つの・・・俺以外の、手。
「こっちが本命に決まってんだろ?」
 美鶴は満足そうに微笑む。
 あぁ、腹が立つ・・・
「・・・あっそ」
 なのに、何で口角が上がってんだよ、俺は・・・

-END-

【こちらは「幼馴染みから恋人まで」の話のキャラです!詳しくはHPまで!】







2014/03/22
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