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二つの独白
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キーワード:性格男前委員長×残念な子(攻→受転換)
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俺はあと何度お前を殺せばいいんだろう。
まさかそんな物騒な事を考えているなんてお前は思いもよらないだろう。勿論頭の中での話だ。本当にそんなことができたらホラーだ。
俺の見間違いでなければ、俺の目が今一気に急激に悪くなったのでなければ、目の前を長身のチャラい男と歩いているお前は、俺の彼氏のはずだ。その男と俺とじゃ天と地ほども違う、その男の方がいい男だと思うけれど、それでもお前は俺と付き合ってなかったか?
しかも何回目だ。
数えるのも馬鹿らしくなるほど見てきた浮気現場。普通はもうちょっとこそこそとしないか? いや、怒るところはそこじゃないのは分かってるけれど。
いつだったか、みんなで集まった時に、浮気は男のステータスなんて馬鹿な話で盛り上がったことがあったよな。確かに俺も頷いた。ああ、間違いない、頷いたさ。馬鹿な話だ。付き合っている相手が女だったら許されるのか? いや、そんなことはない。相手を傷つける話だ。ましてや、浮気が男のステータスなら男同士のカップルはどうなる?
修羅場だ。
お互いがステータスだと浮気をし、浮気相手もまた本命が居て、その本命が浮気をする。それが延々と続いていくなら、ステータスだと許されるなら、付き合う必要なくないか?ちょっと欲情した時にちょっと自分のタイプにちょっとやらせてくれと言えばこと済むじゃないか。
そもそも、俺は頭の中で何度も何度もお前を殺す必要もない。
「と思うわけだよ、委員長」
「……それを俺に聞かせてどうする、バ各務」
「バカで悪かったな。 ついでに言うとだな、だいたい攻め要因が浮気をすると相場が決まってるじゃないか? それが逆転しているのも腹立たしい」
「……だからお前はバカだって言うんじゃないか。 だったら、お前が浮気をして、彼氏が浮気をしなかったらいいってことか?」
「いや、そんなつもりは毛頭ない」
「それとな、各務、分かってると思うけど、バ各務だからもう一回言っておくが、俺はお前のことが好きだ。付き合ってくれと言ったよな?」
「ああ、言った」
「その俺に他の男の話を、例え愚痴と言えども延々と聞かせて、嫌がらせか? 楽しんでんのか? ふざけんな」
「そんなつもりもない。 ただ、委員長はきっと浮気はしないだろうと思っただけだ」
「じゃあ付き合ってみるか?」
「……一日待ってくれ。 俺は浮気をしたくない」
「ああ、今付き合うとお前も浮気したことになるな」
「いや、逆だ。 俺は委員長に浮気してると思われたくない。 別れてくる」
「……ああ、はいはいじゃあ明日待ってるわ」
「わかった」
意気揚々と彼氏を探しに出かけた各務を見て、委員長は溜息を吐いた。
言いたいことはいくらでもある。いったいいつから自分のことを真剣に考えてくれたのかとか、お前がそもそも攻め要因していたことが間違いだったんじゃないかとか、なんにつけ、馬鹿な子ほど可愛いと言うが、その馬鹿な奴以上に自分は馬鹿だと思う、と。
2015/06/26
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