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今日も保健室
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キーワード:ほのぼの 脱力系
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【今日も保健室】
廊下を全速力で駆け抜けて、お目当てのドアを勢いよく開け放つ。
目に飛び込んできた人物に、オレはガッチリ抱き付いた。
「うわーん! 宮内くぅ〜んっ!」
消毒薬の匂いがする部屋で、宮内くんが優しく微笑む。
そう、ここは保健室。宮内くんは保健委員さんなのだ。
「どうかしました? 湯島くん」
「オレはもうダメダメだよぅっ」
弱音を吐くオレの背中を宮内くんが優しくポンポンしてくれる。
「何がそんなにダメなんですか?」
「なんつーか、もう、オレの全て!」
「えー?」
宮内くんがクスクス笑う。
なんだよもう。宮内くんってばヒドイなぁ。
結構本気でヘコんでるのに〜。
「宮内くんに笑われたー」
オレが口を尖らせて抗議する。それなのに、宮内くんはほんわか笑顔。常に穏やかなその姿は、まるで菩薩さまのようだ。
宮内菩薩って呼んじゃうぞ?
「湯島くん」
「なんだよぅ」
「湯島くんはダメじゃないです」
「そうですかぁ?」
オレが胡散臭そうにそう言うと、目の前で宮内くんがニッコリ笑った。
「そうですよ。だって僕、大好きですもん」
……ッ!!!///
ドッキリンコでオレの体温急上昇!
顔が火事です。大変だ。
「……宮内くん」
「はい、なんでしょう? 湯島くん」
「…熱出た。助けて」
「ええ、もちろん!」
そう言って、宮内くんは冷えピタをオレのおでこに貼り付けた。
…宮内くん。
これはちょっぴり違うと思うぞ?
「はいどうぞ」
そう言って、宮内くんがふんわり笑う。
「コレ、特製のお薬です」
差し出されたのはキャンディー2つ。
濃厚ミルクのミルキーだ。
「これを食べると湯島くんの憂鬱が、みーんなどこかに行っちゃいます」
「憂鬱が、みーんな?」
「みーんなです。例えば試験の結果とか」
「…宮内くんはエスパーですか? それとも菩薩さまですか?」
「いえいえ、普通の学生です」
「そんなことより湯島くん。今度は試験前にいらしてください」
「えー? どうして?」
「湯島くんが憂鬱になる前に、一緒に予防対策しましょうね」
そう言って、宮内くんがニッコリ笑った。
Fin...
2007/03/09
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