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涙
---第9話---
朝、教室へ行くと
昨日行った映画の話題で盛り上がっている。
映画館で会った友達の・・・親友の、鉄央だ。
鉄央の名前は「てつおう」と読む。
本当は「てつお」だったらしい。
理由は、彼の親父さんのカツゼツの悪さを言うようでいけないので、今回は伏せる。
鉄央「お!王子!昨日はどうだった?ぉぃ!」
俺「お前のせいで、変な空気になったわ!」
ん?
まぁ
結果オーライか?
俺「なんだかんだ、お前のおかげで普段しない会話できたよ。」
鉄央「で、付き合った?」
俺「・・・」
鉄央「奈美おっぱいでかくなったよな。」
俺「テメー!」
鉄央「ウソっす!笑」
下心しかない男の会話だ。
奈美「おっはよぉ!」
:SH903i
:11/04 00:37
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12]
涙
---第10話---
奈美がやってきた。
鉄央「やべ!俺宿題残ってた!じゃねぇ〜」
俺「おす。」
奈美「昨日はありがと☆」
上目使いで鼻血がでそうだ。
奈美「これ書いてみた。」
奈美が小さな手紙を差し出した。
”不器用な尚へ”
飛び跳ねて喜びたかったが、
誰かに見られたら恥ずかしいのと、
不器用じゃない俺を見せたかった。
俺「うん。なんだこれ。」
奈美「今日も一緒に帰る?」
ものすごく笑顔の奈美。
強がる俺。
不器用な俺。
俺「暇だったらな。」
奈美「そっか・・・じゃ放課後ネ☆」
パタパタパタ・・・
・・・
朝という事もあって、
奈美のミニスカートを見て勃起した。
:SH903i
:11/04 17:59
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涙
---第11話---
俺はこの時、
幸せすぎる事を
わざと受け入れないフリをしていた。
頭の中には・・・
映画館の手の触れ合いや、
俺の発言で寂しげな態度をとる奈美。
朝の手紙に、
放課後の誘い。
・・・
奈美は俺に惚れている。
そんな事ばっか考えていた。
手紙を開いた俺は固まった。
・・・
何度読み返しても涙しか出てこない。
・・・
その手紙をなかった事にしたかった。
今すぐゴミ箱に捨てたかった。
奈美の事が好きだ。
この気持ちが伝わる事はないと思った。
:SH903i
:11/04 18:02
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涙
---第12話---
奈美がいなくなる。
親の大人の事情が原因で遠くへ引っ越すらしい。
・・・
俺は考えた。
必死だった。
学校を抜け出し、
一人川沿いで寝転んだ。
あと少しで卒業だ。
奈美が俺の事をどう思っているかなんて関係ない。
俺は離れたくない。
奈美も俺も、
もともと進学の予定はない。
卒業すれば働ける。
俺が奈美を幸せにする!!
俺は走った。
・・・
周りも見えず勝手に突っ走った。
向かった先は、
バイト先の工場だ・・・
:SH903i
:11/08 07:10
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涙
---第13話---
俺「そ、卒業したら雇って下さい。お願いします。お願いします!」
社長「どうした?剣?」
社長は俺を剣崎だから「剣」と呼んでかわいがってくれている、
本当に尊敬出来る大人だ。
社長「何があったかは知らないが、お前ならこっちからお願いするよ。」
社長はいつもより笑顔で答えてくれた。
・・・
奈美を守れる。
俺は奈美に手紙を書こうと思った。
手紙を書きながら、奈美と自分の関係はまだ幼馴染だと痛感した。
スキだなんて言えない。
離れたくないなんて言う権利が俺にあるのか?
・・・
”親の都合で奈美が犠牲になる必要がない事。
俺は就職先が決まったから一人暮らしを始める意思がある事。
そして、奈美の考えを教えてほしい事。”
奈美を思う強い気持ちをおさえて書いた、
精一杯の手紙だった。
放課後になり、
「HY」の「あなた」が携帯から鳴った。
・・・
奈美だ。
:SH903i
:11/08 07:11
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涙
---第14話---
俺「もしも・・・」
奈美「尚ぉー今ドコ?」
俺「玄関だよ。ちょっと来れる?」
奈美「うん☆もう着いたょん☆」
・・・
奈美「尚の不器用なトコがもう見れなくなるね。」
俺「・・・。これ。帰ってから読め。」
手紙を渡した。
奈美「うっそ!尚が手紙書いてくれたのぉ!?ありがとう☆」
奈美の上目使いを見れなかった。。。
見る勇気がなかった。
自然と一緒に帰っていた。
お互いの会話に手紙の話は一切なく、
映画の話や世間話だけだった。
:SH903i
:11/10 05:11
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涙
---第15話---
その日の夜。
俺は、一人音のない部屋で肩を落としていた。
「あなた」が流れる。
・・・
奈美からの一通のメールだった。
”手紙ありがと☆
就職先決まったんだ!お祝いしなきゃね。
尚が一人暮らしするなら応援する!
ちょっと羨ましいな。。。尚、元気でね”
奈美からのメールを読んで決心した。
自分の中で何かが動いた。
俺”今から会えますか?”
奈美”どうしたの?少しなら大丈夫☆”
俺”奈美の家の前に着いたら電話するよ。”
・・・
奈美の家までは歩いても5分程度。
手紙に書いた
”奈美の考えを教えてほしい”
って事を確認するつもりだ。
でも本当は、
告白したかった。
なぜだか冷静すぎる自分がいた。
:SH903i
:11/10 05:24
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18]
涙
---第16話---
奈美の家の前に近づくと、
風呂上りのタオル片手の奈美の姿が見えてきた。
奈美は外で待っててくれた。
奈美「尚・・・。」
俺「ごめんな。急に。」
奈美「尚、色々決心したんだね。もう私がいなくても大丈夫だね。なーんて☆」
俺「・・・・ダメだよ・・」
奈美「ぅん?」
俺「お前がいなきゃダメだ。」
言った。
・・・俺は泣いていた。
奈美の気持ちを聞く前に自分の感情がどんどん押しあがってきた。
顔を上げたら奈美がどんな表情をしているか不安だった。
・・・
奈美「尚。キスしよっか?」
:SH903i
:11/13 23:50
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涙
---第17話---
俺「え?・・・・・」
・・・・・・・・
今まで一線を決して越えられないと思った。
愛しい人とのキス。
・・・
俺はこんな状況なのに勃起した。
奈美の風呂上りのいい匂い。
小さい手で力いっぱい抱きつく奈美。
やわらかい唇。
ブラジャーのない奈美の胸・・・
すべてに興奮した。
奈美「尚。。強いよ。。」
俺「ぁ。ごめん。。」
力いっぱい抱きしめてしまっていた。
奈美の気持ちがわかった気がして、
緊張が解けた。
:SH903i
:11/13 23:51
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20]
涙
---第18話---
俺「奈美が好きだから、
一緒にいたいと思った。
だから就職も一人暮らしも、
今日決めた。」
正直に話してしまった。
あとは奈美の考えを聞くだけ。
奈美「ありがとう。
私も尚がずぅっとスキでした☆」
必殺ビーム炸裂中だ・・・
カワイイッ!
俺「照れるよ。。。」
奈美「尚が私の事思ってくれてるのは本当に嬉しい!
でもすぐには一緒になれない。」
俺「何か理由があるの?」
奈美「うん。約束した。
引越し先に・・・・・
奈美は悲しそうに話した。
引越し先はお母さんの実家らしく、
おばあちゃんの体調が悪いらしい。
お母さんが仕事の間、奈美がおばあちゃんの看病をする約束をしたらしい。
俺は、自分の感情より大事な事だと思った。
奈美もおばあちゃんが好きみたいだ。
・・・
別れ際に二人の約束事が出来た。
:SH903i
:11/16 02:48
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21]
涙
---第19話---
引っ越すまでの間は毎日会う事。
引っ越しても毎日メールする事。
奈美がこっちに戻るまで浮気をしない事。
・・・
・・・
奈美「付き合って下さい。」
俺「ぉ、おう」
奈美「尚。。。照れてる???」
・・・
昨日の会話が夢のようだ。
俺は今、奈美とお付き合いをしてるのだ。
あの小さな手も顔も腕も足も。。胸も。。。
全部、俺が大事にしようと思った。
奈美と約束した。
浮気はしない!
奈美が戻るのは、早ければ半年らしい!
それぐらい全然平気だ。
この時、
俺は奈美と結婚すると思っていた・・・
:SH903i
:11/16 02:50
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22]
涙
---第20話---
あの日から、二人の時間がどんどん増えていった。
鉄央にもよく冷やかされるほどいい関係が続いていた。
登校の時間も・・・
帰り道も・・・
俺達は一緒だった。
そして、卒業の時がきた。
あっという間の高校生活。
悲しい気持ちももちろんあったが、俺には奈美がいる幸せでいっぱいだった。
俺には、奈美との結婚生活を想像するクセがある。
妄想は得意だ。
時に妄想のしすぎで鼻血もだすが・・・
・・・
就職先の社長が卒業式に来てくれた。
社長「剣。卒業おめでとう。これからは工場を頼むぞ。」
社長の落ち着いた大人の言葉はいつも俺を刺激する。
俺「はい!ありがとうございます!」
社長のおかげで奈美との事も考えられた。
本当に感謝している。
奈美「あれ?尚!第二ボタンなぁい!ヒドーい!」
・・・
:SH903i
:11/23 02:44
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涙
---第21話---
俺「モテル男はつらいよ。」
奈美「ふーん。本当に悲しいのになぁ。」
俺「うそだよ。・・・はい。」
第二ボタンなんて今時大事にするのか?
と思ってはみたが、奈美はこういう小さな物でも喜んで感動する。
本当に純粋な子だ。
奈美「うわぁ。尚。ありがと☆」
あぁ・・・ビームが俺の意識を遠ざける。
奈美「そうだ・・話出来る?」
俺「う〜ん。クラス会があるから、その後でもいい?」
奈美「わかった。大事な話だから、連絡しろよぉ!」
俺「おぅ!」
俺達のクラスの小さなグループで今日は最後の会食だ。
鉄央ももちろん参加するが、
ずっと想ってた人に告白するらしい。
最後の最後に変な髪形の鉄央に、
俺がかける言葉はなかった。
:SH903i
:11/23 02:46
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涙
---第22話---
カンパーイ!
未成年が堂々と酒は飲めない。ウーロン茶で寂しい乾杯だ。
鉄央「えー。お集まりの皆様に、ご報告が・・・」
鉄央がいきなり突っ走った。
俺は顔が青ざめたが、何も言えない。
鉄央「綾香さん!ずっと好きでした!」
おぉーーーーーー!
パチパチパチ。
盛り上がる周りとは違って綾香は下を向いたまま。
綾香「よろしくお願いします。」
シーーーー・・・ン。
え?OK?
うぉーーーー。
鉄央が奇跡を起こし、色々な会話で盛り上がった。
友達「すいませーん!ビール1本!」
おいおいやっぱ酒飲むか?
ゲームをして一気飲みの大会が始まった。
:SH903i
:12/05 03:24
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25]
涙
---第23話---
俺「おっしゃー!鉄央の負けぇ!」
俺はこの時かなり酔っ払っていた。
奈美との約束もすっかり忘れていた。
鉄央「ゴクゴク。・・・おりゃー次だ!」
こういう時の時間は本当に早い。
友達「おっとそろそろ帰らないとまずいな。」
俺はあせって携帯を見た。
奈美からの着信履歴が1件残っていた。
メールはない。
解散してすぐに奈美に電話した。
・・・・
奈美は電話に出ない。
メールしてみたが返事もない。
頭の中にヤバイという言葉がぐるぐる回った。
気がつくと奈美の家の前にいた。
奈美の部屋の明かりは消えていた・・・
:SH903i
:12/05 03:24
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