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傘はただ雨音を強くする
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1]
深緑
初めて携帯で書いてみます。読んで頂けたらうれしいです。
忘れた頃にしか続きを書き込めないと思いますので気長にみてやってください。
行き当たりばったりで書いていきますので、誤字脱字等がかなりあると思います。読みにくいからしれませんが、よろしくお願いします。
:SO703i
:11/08 12:50
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2]
深緑
男は車を走らせていた。聞こえる音といえば、車を叩く激しい雨の音だけだった。その音は、地球上にある他の全ての音を消しさる程だった。男は視界の悪さにも愚痴をこぼすこともなく、ただひたすらに走っていた。街灯の少ない道路を、目的地もなく……いや、男には目的地はないが、目的はあった。その目的を果たすために車を走らせていた。
助手席にビニール傘を置いて。
:SO703i
:11/08 12:53
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3]
深緑
男は、視界の端に動くものを捉えた。車のスピードを落とし、少しづつ近くなるそれを確認する。……男は笑った。声を上げて笑った。探していたものが見つかったたのだ。
男が見つけたのは、ずぶぬれになりながら歩く少女だった。まだ幼い、ランドセルを背負った少女がうつ向きながら歩いていた。この大雨への恨み言を呟きながら。
男は、車を少女の横に停め、車のウィンドウを開けた。そして、雨の音に負けないように声を張り上げた。
少女は男の言葉に首を大きく振り、逃げるように歩きだした。しかし、男はまた車を少女の横に移動させて声をかける。少女は立ち止まり、不安げな表情のまま、男が差し出した傘を受け取った。
男が更に言葉を投げ掛けた時、少女を光が照らした。少女は目を細め、光の方に顔を向けた。
後ろから迫ってくるライトに気付いた男は、車のタイヤを滑らせながら、少女のそばから去っていった。 少女の顔からは不安が取り除かれた。
しかし、涙を流していることは誰にもわからなかった。
:SO703i
:11/08 12:59
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4]
深緑
行きたくない……昨日の昼頃から降り続けている雨のせいもあって、結花はいつもより気が重い自分を感じていた。
学校に近づくにつれ、結花と同じ様に傘で体を隠した生徒達が増えてきている。でも、晴れの日よりは少ない。車で送られてくる人が多いからだ。今からでも学校に行くのはやめようか……だめ、おかあさんに心配をかけてしまうから。
重たい足を引きずるように歩きながら、結花は昨日の出来事を思い出した。
:SO703i
:11/12 13:01
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5]
深緑
ずぶぬれになっている結花に、傘を差し出してきたあの男の人。暗かったから顔はハッキリと見えなかったけど、笑っているように見えた。そして、何か話しかけてきた。でも、何を言っているのかわからなかった。その時は、すごい雨が降っていたから。
そして、男の人は傘を差し出してきた。今、結花の体を雨から守っている傘を。受け取るつもりはなかった。もう服も髪もぐっしょり濡れていたていたし、たぶんランドセルの中も水が貯まっているだろうし、いまさら傘をさしても意味がないと思ったから。
でも、断る結花を男の人は追ってきた。結花は怖くなった。また、男の人は話しかけてきた。
「ほら!かぜ…………早く!」
今度はなんとなく聞こえた。風邪を引くから早く受け取れ、というようなことに聞こえた。
また追いかけられるのが嫌だったから、しかたなく受け取った。
「………かえ…………」
今度はほとんど聞こえなかった。
その時、右から光が見えた。何気なく光の方に顔を向けた。
眩しい光が近づいてきている。
すると、男の人は急ぐように車を走らせた。タイヤが泣いているような音を出した。
結花も泣いていた。
:SO703i
:11/12 13:06
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