■ダンスホール
尾崎豊


安いダンスホールは
たくさんの人だかり
陽気な色と音楽と
煙草の煙にまかれてた
ギュウギュウづめのダンスホール
しゃれた小さなステップ
はしゃいで踊りつづけてる
おまえを見つけた

子猫のような奴で
なまいきな奴
小粋なドラ猫ってとこだよ
おまえはずっと踊ったね

気どって水割り飲みほして
慣れた手つきで
火をつける
気のきいた流行文句だけに
おまえは小さく
うなづいた
次の水割り手にして
訳もないのに
乾杯
こんなものよと
微笑んだのは
たしかに
つくり笑いさ

少し酔ったおまえは
考えこんでいた
夢見る娘ってとこだよ
決して目覚めたくないんだろう

あたい
グレはじめたのは
ほんの些細なことなの
彼がいかれていたし
でも本当はあたいの性分ね
学校はやめたわ
今は働いてるわ
長いスカートひきずってた
のんびり気分じゃないわね
少し酔ったみたいね
しゃべり過ぎてしまったわ
けど
金がすべてじゃないなんて
きれいには言えないわ

夕べの
口説き文句も忘れちまって
今夜もさがしに行くのかい
寂しい影
落としながら

あくせくする毎日に
疲れたんだね
俺の胸で眠るがいい
そうさおまえは孤独なダンサー






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