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死が二人を分かつ時
by 朧月(おぼろづき)  
R指定:---
キーワード:リボーン
あらすじ:骸のお話 まだ地獄のような実験室にいた頃、僕と君は出会ったんだ…
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ここはエストラーネオファミリーの薄汚い研究室
命を絶たれるだけの地獄…そんな中で
僕、六道 骸と
君は出会った


身を寄せ合い
心を分かち合い
地獄に光りを見出だした


でも…
人の命なんて儚くて
君は呆気なく
死んでしまった


あの日

この世の中は、取るに足らないと思いませんか?
全てが消えて無くなってしまえばいいのにって…僕は思います

そう言った僕に

私は…
そんな事ないと思うな
世界には素敵な事で
溢れてるもの
私達は死ぬかもしれない…
けど、生きて此処から出て
笑いあえるかもしれないじゃない?

君はそう呟いて
僕の瞳を見据えたまま
儚げに笑った


そんな君を思い出すと
僕は腹の底から
黒い物がドロドロと
湧き出てくるのを
押さえきれなかった


気がつけば自分の体が
勝手に動いていた


骸の手に握られた武器が
男の下腹部に刺さり
男は苦しげな声を出して
ドサリと床に倒れる


『ガシャーン!!』

次に別の男を刺し
その男は機材を巻き込み
豪快に音を立てながら倒れた


他の場所で実験していた
男達も異変に気付き
集まって来た
骸は怯みもせずに
大人達を淡々と刺してゆく

今日の実験室には
子供達の叫び声ではなく
大人達の叫び声がこだました


「やめろー!
うわーーーっ!!」

やめろ?
お前らはそう言ったら
実験をやめましたか?
止めなかったでしょう?


「助けてくれーーっ!!」


助けて?
なんて面白い人達なんだ
あんたらは助けてと懇願しても
助けてなんかくれなかったのに
そんな矛盾が通じるとでも?
そんなわけないでしょう


辺りが血の海に変わり
全てから解放された気分だ

最初からこうしてしまえば良かったと
骸は心の底から後悔した
あの時、君が…
世界は取るに足らないと言った僕にそうだね≠チて言ってくれたなら
こんな思いはせずにすんだのに

ねぇ、君はこれでも
世界が素敵な物で溢れてると言えましたか?
そんな事言って自由を待ってた君は…
死んでしまったじゃないか…


君がいないのに…世界は平然と回り続けてる
それが…憎くて憎くて仕方がない

こんな僕を見て
君は悲しみますか?
でも僕はこのどす黒い感情を抑えきれない


「クフフ…
やはり世界は、取るに足らない世の中だ
全部消してしまおう―――…」


君があまりにも綺麗な言葉を紡ぐから、僕は夢を見てしまったんだ
ここから解放されて…二人で自由を手にする夢を
でも、待ってるだけじゃダメだった
闘って、血だらけになって奪いとらなきゃ、自由なんて手に入らない
いつか…君と僕が話した世界観の見方は僕の方があってたみたいですね
この世は取るに足らない世の中だったよ


君が見れなかった綺麗な物が…この世には溢れてるんでしょう?
なら僕が全て消してあげます
君が見れなかったのに…
他の誰かは見てるんだよ?
美しい君より

汚くて
愚かで
最悪な奴らが…
綺麗な物を見てるんだ!!

そんなの…許せない


でも…僕が全て消してしまえば、僕が死んで君の元へ行った時…―


『君はあの時死んでしまって良かったかもしれません
僕はあの実験室を出て、世界を見ましたが…世界に綺麗な物などなかったのですから
君が死んでしまったその時…世界は最も美しいものを無くしてしまったのです』

そう言えるから


僕はふと…自分を見ている二人の少年に気付いた
何故か…一瞬、君とかぶってしまった

この二人も地獄を味わったのか
ならば…自分のコマとして、世界を全て消すのを手伝ってもらおう
全ては…君のために


そして紡がれた言葉


「一緒に来ますか?」


だけど
1番君に言いたかった


『さあ、一緒に行きましょう
そして見よう…綺麗な物を一緒に』


そう…言いたかったよ




死が二人を分かつ時
残るのは
悲しみと絶望と
愛しさと切なさ
憎しみと苦しみ




(君が泣いてる気がした)





サイトの短編を
収縮した作品です
少しでも興味をもたれた方は、是非遊びにきてください♪_


2008/03/02
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