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Lパパ-年頃編-
by いく  
R指定:---
キーワード:DEATH NOTE(L)
あらすじ:Lがパパになったお話。サイトで拍手連載中の作品の番外編です。
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「ユウ、お風呂に入りますよ。」

「………いや。」




あらあら、ついにやってきたみたいね。

Lったら鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してる。


そりゃ可愛がりに可愛がってきたユウに一緒にお風呂に入るのを拒否されたんだから仕方ないわよね。



「…どうしたんですか?どこか体の具合でも悪いんですか?それとも今日はママと入りますか?」


慌てて機嫌をとるように尋ねるLに、ユウは目をそらして言う。


「………今日からお風呂は1人ではいる。もうパパとは入らない。」





やっぱりね。



「どうしてですかユウ!?私なにかしましたか?」


タジタジといつもは見せないほどに動揺するL。




「ユウだってもう小学三年生だもん!お風呂くらい1人で入るの!」

「ユウ…!」



お風呂へと1人走り去るユウにLは驚きを隠せず呼び止めようとしたが、その声虚しくユウは行ってしまった。



「……ユウ。」

しょんぼりと肩を落とすLに私は思わず声をかけた。


「L。」

「……私はユウに何かしてしまったんでしょうか?」




やっぱりね。

Lはそういうと思ったわ。



「…そうね、しいていうならお年頃ってことかしら?」

「お年頃…ですか?」

「そ。自分が女の子だってことを意識してくる年頃なのよ。」


「……なるほど。」

「ま、私の時はもうちょっと遅かったけどね。」


じっくり考え込むように口元に指を添え、一転をじっと見つめるLにふふっと微笑み私はLの横に座った。





「じゃあもうユウとはお風呂に入れないということですか……」

「一人前に女を意識する年頃なのよ。多分あの様子からすると友達に何か言われたんだろうけど。」

「友達に?」

「そう。私もね、お父さん子だったからずっとお風呂は一緒に入ってたのよ。でも、ある日友達にまだお父さんとお風呂入ってるの?っていわれて、急に恥ずかしくなっちゃって入らなくなったのよね。」

「なるほど…。」


そう言ってしばらく考え込むように、指をくわえるL。




さぁ、パパはどう動くのかしら?



「ちょっとユウと話して来ます。」

「え?」



だってユウはお風呂に入ってるのよ?と止める間もなくLは走り出した。






「キャー!」



轟くはユウの悲鳴。



ああ、遅かったみたいね。




Lを追いかけてお風呂ばに向かうと、オケやら石鹸やらを投げつけられているL。


「ユウ、痛いです…!昨日まで一緒にお風呂に入った仲じゃないですか。」

「あっち行ってよ!今日から1人で入るって言ったでしょ!」



あらら、これは掃除が大変そうね。



「友達の目を気にしてるんですか?なら言わなければいいだけのことじゃないですか。」

「………っ!」

「それにユウはまだ子供ですから、女なんて意識しなくていいんですよ。胸だってまだ出てませんし、くびれ……!」



黙って2人のバトルを見守ってた私も、さすがにLのデリカシーなさすぎ発言にはチョップをくらわせた。



「ママは引っ込んでて下さい、これは私とユウの問題です。」

「はいはい、ちょっとこっち来ましょうね。」

「私は…ユウと…!」

「はいはい…」



暴れ喚くLの首ねっこを掴み、私は廊下を引きずってLをリビングに戻した。





「どうして止めたんですか…。」


リビングに戻ってもなおブツブツ愚痴を言い続けるLに私はため息をついた。


「あのねーL、お風呂に入れなくなって辛い気持ちはわかるけどさっきの発言はさすがに酷すぎるわ。」

「さっきの発言というのは胸が出てないといったことですか、それともくびれがないといったことですか?」

「どっちもよ!」


珍しく出す私の大きな声に少し跳ね上がり膝を抱え直すL。




「ユウは…」

私が再び口を開こうとした時、部屋の外から聞こえたのは階段をかけあがる足音。




「ユウ、そのまま部屋に戻っちゃったみたいね……。」

「………。」




まるで喧嘩したあとの素直に慣れない子供みたいに黙り込むL。



「あのね、Lあの年って本当に難しい年頃なのよ。確かにLの言うとおりまだ体的な変化はないわ、でもねそれに備えて自分は女の子なんだって心が準備する時期なの。」

「……はい。」

「わかってあげて、ユウのパパは他でもないLだけなんだから。」




そうLの顔を覗き込んだ瞬間、引っ張られるスカートの裾。



「マーマ。」

「ケイ!やだ、起きちゃった?」

「……おしっこ。」

「はいはい、行こっ。」



そうして私がソファから立ちあがると同時に、Lも無言で立ちあがった。



「ユウに……謝ってきます。」

「…………うん。」


そう言って真面目な顔をしたLに、私はにっこりと微笑みケイをトイレに連れて行った。



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「ユウ、ちょっといいですか…?」

「!…………。」

「今日のこと、謝りたいんです。少しでいいので中に入れて下さい。」


私がそういうと泣きそうなユウとともに静かに開かれた扉。




ああ、私は酷い父親だ。


ユウの泣きそうな顔を見て改めてそう思った。


部屋に入れられると俯いて黙って座るユウ。


「ユウ…今日は本当にすみませんでした。ユウの気持ちも考えずに…私はパパ失格です。」


そういうとユウは大声をあげて泣き出した。


「ううん…!ユウも、パ…に物なげたりしてっ…ごめんなさ…うっ、ぅわぁあん…!」


泣き出すユウにそっと近づき、私はユウをぎゅっと抱きしめた。




「いえ、私が悪いんです。ユウが泣くことはありません。」

「でもっ…、」

「ほら、笑って下さい。私はユウの笑ってる顔が1番好きなんです。」




その私の言葉に、涙で濡れたグシャグシャな顔で微笑むユウ。


お世辞にも可愛いとは言えないその顔が、とても愛おしい。



「…あのね、今日学校でまだお父さんとお風呂入ってるの?って笑われちゃったの。だからそれで急に恥ずかしくなっちゃってあんなこと言ったんだ…。」




ママの言ってた通りか……


さすが女同士だな…




そんなことを思って私はふっと笑った。




「いいんです。ユウは女の子なんですから当たり前でしょう?今はまだ女の子ですが、これから先どんどん綺麗になって大人になって女になっていくんですから。」

「うん。」



笑顔を取り戻して頷くユウに私は目線を合わせていう。



「だから、ママのような、いえママ以上に素敵なレディーになって下さい。それを見るためと思ってお風呂は我慢します。」




そう言い放った私にユウは嬉しそうに笑うと、もう一度力強く

「うん!」

と言った。


----------------------------

ケイを寝かしつけると、聞こえてきたのは階段を降りる足音。



Lね。

ちゃんと謝れたのかしら、そう心配してドアの方を見ているとにこりと微笑みLが扉を開けた。



「ちゃんと仲直りできました。」


そう言ってソファに腰かけるL。


「良かった。安心したわ。」



Lは私の返事に頷き、さらに言葉を続ける。


「ユウが可愛いあまりに私は少し過保護になりすぎる部分があるかもしれない、と初めて思いました。」

「初めて!?」




Lのその言葉に私は吹き出した。



そっか、今までの過保護っぷりは自覚がなかったのね。




「何がおかしいんですか?」


突然笑われたことに口を曲げて拗ねるL。



「だって、Lの過保護っぷりってば重症よ?なのに初めて知ったって……あはは、それはないわよ…ぷ、ふはは」

私の笑う様子を見て、最初は口を曲げていたLもフッと笑った。



「ユウだけじゃなく…私はあなたも笑ってる顔が1番好きです。」

「え?どういう…んっ!」



聞き返した私の言葉を封じたのは、ふいに落ちて来たLの唇。


ちゅっと軽く触れるだけの。




「やだ…なんか付き付き合い始めに戻ったみたいで恥ずかしい。」


悪戯っぽく微笑むLを目の前に、目をそらしていう私。



きっと顔は赤いと思う……



「そういわれると、もっとしたくなります。」



そうして重ね合わされる2度目の口づけ。





L、あなたと出逢って本当に良かった。


あなたはいつでもたくさんの笑顔と驚き、そしてトキメキを私にくれるもの。



私はあなたに何をあげられるのかしら?




そう心の中で呟き私はLの頬に触れた。


そんな私にLはクスリと笑い

「もう2つも宝物を貰いました。他にはない愛しいものを。」

と言った。




ああ、本当にこの人はたくさんの驚きをくれる。


私の考えてることなんてお見通し、か……。




私は、有難うと呟いてLに不意打ちなキスを返した。


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おまけ



穏やかな休日に鳴り響く電話の音。



「Lーごめん出て!」

「わかりました。」



プッ

「はい。…………ユウ…ですか?失礼ですがどちら様ですか?だいすけ……?」



電話に出て貰ったはいいものの不安になってかけつけてみると、電話付近から漂うどす黒いオーラ。



「ちょ、L?」

「ユウなんて娘はうちにはいません!」


そう言い放ってガッチャンと置かれる電話。



「ちょ、L、さっきのユウへの電話だったんじゃないの?」

「………男でした…。きっとユウに言いよるろくでもない奴に違いありません。」

「パパー?過保護にしすぎはやめるんじゃなかったの?」

「それとこれとは別です。ユウに変な虫がついたらどうするんですか。」

「…………。」



やっぱりパパの過保護っぷりは変わらないようです。





END



2008/05/12
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